本学卒業生が2024年度(第73回)農業農村工学会大会講演会でポスター賞を受賞!


 生物資源科学部アグリビジネス学科卒業生の大西将嵩さん(現 秋田県農林水産部農山村振興課)が、9月10日〜13日に弘前大学文京町キャンパスで開催された「2024年度(第73回)農業農村工学会大会講演会(全国大会)」において、『トミヨ属雄物型の突進速度に関する実験的研究』について発表し、見事、ポスター賞を受賞しました。

 同学会は、農業農村工学の進歩及び農業農村工学に関わる研究者・技術者の資質向上を図り、学術・技術の振興と社会の発展に寄与することを目的に設立された日本の農業土木を代表する組織であり、日本農学会加盟の学会の中でも歴史が古く、会員数も一万人を超える大きな学会の一つです。

受賞した大西将嵩さん

研究概要

 トゲウオ目トゲウオ科の淡水魚であるトミヨ属雄物型[Pungitius sp.(omono type)]は、秋田県雄物川水系および山形県最上川水系の湧水がある場所に生息する魚類である。湧水の水量や水質は農村環境の変化の影響を受けやすく、また、水路改変による高流速化や水路内の落差についても、小型魚類である本種の生息個体数に負の影響を与えるものと考えられており、レッドリストでは、秋田県版、環境省版ともに絶滅危惧ⅠA 類(CR)に分類されている。農業農村整備事業においては、その実施にあたり「環境との調和への配慮」が義務づけられているが、トミヨ属雄物型に関する研究例はきわめて少なく、調査計画・設計等の段階で生息環境に配慮するための十分な知見は得られていない。魚類の有効な保全対策を実施するうえで、 対象魚種の生態と遊泳能力を把握することは不可欠ある。特に、魚類の保全を目的とした水路の落差部における流速や魚巣ブロックの設置間隔等の設計にあたっては、対象魚種が瞬間的に発揮できる遊泳能力の一指標である突進速度を把握することが重要である。本研究では、トミヨ属雄物型の突進速度の解明を目的とした回流型開水路を用いた遊泳実験を行い、本種の遊泳能力を定量的に評価した。

大西将嵩さんのコメント

 永吉先生をはじめ、佐藤さんや矢田谷先生といった皆様のおかげで今回の賞をいただけました。秋田県立大学を卒業して5年以上が経過しましたが、このように研究活動を継続できており、大変恵まれている環境であると感謝しております。学生時代と社会人になってからとでは、考察の視点等が変わって大変面白いです。引き続き頑張り、しっかり貢献していきたいと思います。
 

農業用排水路での研究(学部4年次)

学会発表の様子(学部4年次)

在学時の指導教員、永吉准教授のコメント


 今回受賞した研究課題は、大西さんのほか、同学科卒業生の佐藤伶祐さん(現 農林水産省東北農政局農村振興部)、弘前大学の矢田谷健一助教、アグリビジネス学科の永吉武志准教授[専門:水理学・河川工学・農地防災保全学]により共同で進められてきた研究です。

 本賞は、全国から集まったポスター発表課題の発表者を対象に、年3~4件ほどしか受賞できない大変に名誉な賞です。大西さんにとっては、学部4年在学時に受賞した同学会東北支部賞(奨励賞)に続く二つ目の受賞となりましたが、共同研究者として心からお祝い申し上げます。

在学時の指導教員、永吉准教授