【スマート農業指導士育成プログラム】石川県の若手生産者が参加しています

 令和6年1月1日に発生した石川県能登地方の地震により、石川県の農業関係においても、農業用ダムやため池の損傷、農地の地割れや法面の崩壊、また津波による農地土壌への塩分流入など、甚大な被害が発生しました。こうした状況を踏まえ、本学と公益財団法人いしかわ農業総合支援機構(理事長 馳浩・石川県知事)とで覚書を取り交わし、石川県の復興支援の一環として、本学が有するスマート農業教育の観点から人材育成に協力・支援をしています。

 本学アグリイノベーション教育研究センターでは、スマート農業技術の普及・指導に貢献できる人材を養成することを目的とした、社会人対象の教育プログラム『スマート農業指導士育成プログラム』を令和3年度から展開しており、本年度のプログラムには石川県の若手生産者もオンデマンド講義の視聴や圃場での演習に参加しています。

 10月16日(水)にアグリイノベーション教育研究センターで実施された「スマート農業における技術要素・演習<機械学習>」では、通常の受講生20名に加え、石川県の若手生産者3名も本演習を受講し、画像データを用いた機械学習により果実の選果、および収穫適期を判断する知識や技能を習得しました。

 本演習では、システム科学技術学部情報工学科猿田和樹教授が講師、情報工学科の石井雅樹教授と知能情報処理研究室の学生がサポートを務めました。演習中は、機械学習における性能評価の方法を確認した後、回帰問題の例として秋田県の気象データから水稲の収穫量を様々な手法を用いて予測しました。その後、ノーコードAIツール(プログラムを記述することなくAI開発ができるツール)を用いてトマト画像の認識し、トマトの習熟度を判別する演習に取り組みました。

 受講生からは、普段と異なる演習に「頭から煙が出そう」といった声があがり、苦戦しているようでした。しかし、ノーコードAIツールの用いてトマトの習熟度を判定した際には簡単な操作で結果を可視化できることに驚いている様子でした。

 本学では今後も引き続き、石川県の震災復興に向けて、スマート農業人材の育成とスマート農業技術の導入促進を図り、石川県の農業振興に鋭意取り組んでまいります。

石川県の若手生産者のコメント

 機械学習やディープラーニングという言葉は耳にしていましたが、実際にどのようなものかを体験する機会はありませんでした。今回の演習を通じて、特徴量や教師データの重要性、高度なプログラミングなしでも始められる方法について学ぶことができました。これにより、機械学習が身近に感じられ、非常に貴重な経験となりました。


石川県の若手生産者

 本年度のプログラムには、農業従事者や行政職員、農業法人・団体など 20 名が参加しており、受講生は、ロボット技術、ICT・IoT、スマート農業の普及に係る幅広い分野について、年間 33 科目 69.5 時間の座学・演習を履修し、スマート農業を生産現場で実践するために必要な知識や技術、技能の修得を目指しています。