学科の教員

アグリビジネス学科教員

ジャンル別講師の詳細プロフィール

CONTENTS

永吉 武志 (准教授) ながよし たけし

所属:ルーラルエンジニアリング
専門分野

水利施設の性能設計や機能保全を目的とした応用水理学

主な担当科目

学部担当科目  農地環境保全学、地域環境基礎工学
大学院担当科目 農村環境保全整備論、生物資源科学演習

現在取り組んでいる研究テーマと概要

取水堰や用排水路などの水利施設の長寿命化に関する課題、また河川や用排水路などにあるべき自然環境を河川整備あるいは農業農村整備の中でいかに保全・再生していくかという課題に取り組んでいます。

技術相談に応じられる分野

① 河床変動や洪水流に関する問題。河川構造物・農業水利施設の性能設計と機能保全・管理に関する問題
②特定外来生物サンフィッシュ科3種(オオクチバス、コクチバス、ブルーギル)の分布拡大に関する問題
③上記①②に関する基礎的問題、トラブル解決、技術開発などのアドバイス、関連する分野の研究者や研究機関の紹介

指導できる自主研究

河川、農業用水、水利施設、外来魚、稲木干しなどに関すること。

河川の砂礫堆と生態系

〔研究内容に関連する高校の授業科目〕
普通科等:普通科等:生物、物理
農業高校等:水循環、農業土木設計、農業土木施工

はじめに
一般に河川は、水深が浅く流れの速い「瀬」と水深が深く流れが穏やかな「淵」を繰り返しながら流れ、所々に砂や礫が堆積した「洲」形成しています。河川を流れる水や土砂などの動きを科学的に明らかにする学問である河川工学の分野では、この瀬と淵と洲をひとまとまりとした河床の形態を「砂礫堆」と呼んでいます。
砂礫堆の性質と水の流れ
河床に砂礫堆が形成されている河川では、水の流れが蛇行し、水流と河岸がぶつかるところでは河岸侵食や河床洗掘などを生じます。また、直線的な河川に形成された砂礫堆は洪水のたびに瀬と淵と洲の形態を保ったまま下流へ移動するという性質をもっているため、河岸侵食・河床洗掘の箇所や農業用水の取水が可能な位置が変化することがあります。その一方で、ある限度以上に蛇行した河川では、砂礫堆が移動しなくなることがわかっています。つまり、河川を蛇行させ、砂礫堆の移動を止めることができれば、水の流れ方を固定することが可能になり、コンクリートなどの人工物による護岸部を減らすことや、安定した農業用水の取水ができるようになるのです。しかし、これにも一長一短があって、過度に蛇行した河川では、強い水流が一点に集中し過ぎた結果、堤防などが壊れて災害が起きることもあります。
砂礫堆と生態系
洪水による「攪乱」を受けて成立している河川の「生態系」にとっては、「生物多様性」を保全するためにも、河道内のある程度の変化は必要なことなのです。河川と人間が上手に付き合っていくには、工学的な手法に頼りすぎても、自然だけに期待しすぎてもだめで、それぞれの長所と短所をよく知ることが重要です。
おわりに
河川の生態系にとって重要な瀬や淵や洲を保全・再生しながら、洪水に対しても安全な河川整備のあり方を探求すべく、河床を構成する砂礫堆の形と動きの性質についての研究を進めています。

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