『秋田版スマート農業モデル創出事業』成果報告会を開催しました

令和7年12月10日(水)、ホテルメトロポリタン秋田において、「秋田が変わる!農業が変わる!『秋田版スマート農業モデル創出事業成果報告会』」を開催しました。

本報告会は、秋田県の農業を中心とした産業振興への貢献を目的に、本学の農学系・工学系両学部の強みを生かして令和3年4月に設置されたアグリイノベーション教育研究センター(AIC)が推進してきた「秋田版スマート農業モデル創出事業」の事業期間終了を受け、これまでの研究成果を広く共有するとともに、今後の展望について意見交換を行うために開催されたものです。
当日は、農業技術や地域活性化に精通した株式会社日本総合研究所 チーフスペシャリストの三輪泰史氏をお招きした基調講演をはじめ、5年間の取り組みの成果や今後の展望について報告が行われました。

開会挨拶では、福田学長が「本事業には秋田県内43団体が参加し、多くの波及効果を生む成果が得られた。本日の成果報告と議論を通じて、次に何をすべきかを皆様とともに考えたい。これを起点に、秋田、日本の農業の発展と新たな就農者の創出につなげていきたい」と述べました。
続いて、鈴木健太知事からは、「コロナ禍という厳しい状況下でスタートした事業であったが、関係者の努力により着実な成果が積み上げられた。研究成果を実証にとどめず、現場での実装や生産力・収益力の向上、担い手確保につなげ、秋田県が日本の食を支える役割を果たしていきたい」との挨拶がありました。

第1部では、「スマート農業が作る”次世代農業の姿”」をテーマに、三輪氏による基調講演が行われました。日本農業を取り巻く現状や担い手不足、気候変動といった課題を踏まえ、スマート農業の中長期戦略と新たな技術の方向性について解説がありました。農研機構や他県での実践事例、プラットフォームやスマート農機の活用例も紹介され、「スマート農業なしには日本、秋田の農業は成り立たない」と述べられました。
基調講演後にはポスターセッションが行われ、本学教員が本事業の多様な研究成果を紹介しました。参加した事業関係者や高校生は熱心に耳を傾け、活発な意見交換が行われるなど、会場は大いに盛り上がりました。

第2部では、本学教員による5年間の研究成果報告が行われました。はじめに、アグリイノベーション教育研究センター長 西村 洋 特任教授が、AICの活動概要と研究の総括、今後の展望について説明しました。続いて、生物資源科学部AIC 吉田康徳教授が「果菜類収穫ロボットの開発」をテーマに、大玉トマト収穫ロボットの開発成果と今後の課題について報告しました。
さらに、「画像解析による果樹摘果技術の定量化と習得支援~果樹分野へのICT・AI応用~」について、システム科学技術学部AIC 石井雅樹教授がリンゴ摘果作業を支援するシステムの開発成果を紹介。熟練者の技術をスマートグラスと画像解析で再現・支援する取り組みが、動画とともに紹介されました。
最後に、生物資源科学部AIC 上田賢悦教授から、実践的スマート農業教育の取り組みとして「スマート農業指導士育成プログラム」について報告があり、プログラム実施の背景から、スマート農業を支える人材育成の重要性と修了生の活躍状況が紹介されました。

閉会挨拶では、コンソーシアム統括ディレクターの蒔田明史理事が、「本日は事業の一区切りであると同時に、新たなスタートの日でもある。5年間で築いたつながりを大切にし、今後も現場に即したスマート農業技術の実装を進めていきたい」と述べました。報告会終了後には懇親会が行われ、参加者と本学関係者が交流を深め、有意義な時間となりました。

本学では、今回の成果を基盤として、産学官連携をさらに深化させ、秋田から持続可能な農業モデルを全国へ発信していきます。
 


会場の様子


福田裕穂 学長


鈴木 健太 秋田県知事


真剣に聞き入る参加者


株式会社日本総合研究所  三輪 泰史氏


質疑応答の様子


ポスターセッション


 


蒔田 明史 コンソーシアム統括ディレクター


懇親会の様子