【いつでも青春キャンパス】「解析学」「物理」「数学」など理数系科目を集中して受講中!

妥協のない探求心と、深まる理解! [左]樋渡重幸 さん(68歳) [右]宮本 雲平 教授

 シニア大学生の樋渡重幸さん(68歳)は、解析学Ⅱのほか、解析学1b、応用数学Ⅰ、物理学Ⅰ、物理学Ⅱ、確率統計、遺伝学Ⅰ、気象学など、3期生9人の中で最も多い9コマ(1コマ=90分)の講義を受け受講しています。受講前の予習や受講後の復習も欠かさず行い、勉強漬けの毎日を送っています。

 樋渡さんは、総合科学教育センターの宮本 雲平教授[専門:数学]が担当する「解析学Ⅱ」も受講しており、11月20日の講義では、微分積分を駆使する解析学の講義では、流体力学などでも使われるベクトル解析を学びました。

 午前8時50分から始まる1時限目の講義に、誰よりも早く登校し、必死に授業の予習に取り組んでいました。授業中は若い学生よりも最前列に着席し、一言も聞き逃さないように一生懸命に板書をメモする姿が見られました。さらに、講義後には、疑問点や理解できなかった箇所を積極的に質問し、学びを深めていました。

 「宮本先生は解説が非常に丁寧で、数学用語の意味が分かるようになりました。欲張って様々な科目を受講しているので予習や復習が大変ですが、毎日がとても充実しています。授業の成果として検定試験などを受験してみる予定です!」と張り切っていました。宮本教授は「熱意が凄いですよね。最前列でめちゃくちゃ勉強している姿は学生にも刺激になっています。」と舌を巻いていました。

【生涯学習プログラム『いつでも青春キャンパス』】
 65歳以上の方を「シニア大学生」として1年間、本学で受け入れ、在学生と一緒に学習や研究、課外活動に取り組む生涯学習プログラムです。


講義に熱心に耳を傾ける樋渡さん


計算技法だけでなく理論的背景も重視する宮本教授


シニア学生の学ぶ意欲は学生の刺激に


一心不乱に板書をメモする学生


若い学生に波及するシニア学生のポジティブ思考


教室全体の空気が引き締まる

宮本教授のコメント

 樋渡さんと初めてお話ししたときに驚いたのは、これまで微分積分や線形代数といった大学レベルの数学の授業を受けた経験がないにもかかわらず、独学で高度な計算ができるようになっていたことです。長年塾講師として高校生から高専生まで幅広い生徒に接してこられた中で、さまざまな質問に答えるために一緒に勉強を続けた結果、自然と大学数学の計算にも習熟したのだそうです。しかし、樋渡さんの素晴らしい点は、計算ができることに満足せず、「この計算にはどんな意味や背景があるのか」を知りたいという強い探究心をもって、本学の授業に参加されたことです。私は授業で計算技法だけでなく理論的背景も可能な限り説明するようにしていますが、「どれほどの学生が興味を持ってくれるだろうか…」と内心では不安を抱えることもあります。そんな中で、樋渡さんが最前列で真剣に理論を理解しようとしてくださっている姿に、今年の授業は私自身にとっても大きな励みになりました。若い学生たちにとっても非常に良い刺激になっているように思います。毎年こうしたシニアの方々が受講してくださると、教える側としても本当に嬉しく、学びの場がより豊かになると感じています!