産学連携セミナー「秋田県におけるスマート農業取組の現状」を開催しました

 10月30日(水)、秋田市のカレッジプラザにおいて、農林水産省及び東北地域農林水産・食品ハイテク研究会との共催により、産学連携セミナー「秋田県におけるスマート農業取組の現状」を開催しました。当日は、大学等の教育関係者や、農業従事者、行政機関、一般市民など、県内外から約100人が参加し、基調講演やポスターセッションなどを通じて、秋田県におけるスマート農業の取り組みなどについて理解を深めました。

 基調講演では、生物資源科学部の矢治 幸夫 客員教授(フィールド教育研究センター)から、大潟村で実証を進めている高精度GPS装置RTK-GNSSシステムを活用した自動操舵田植機について紹介がありました。矢治先生からは、「オペレータが自動操舵時には直進するための操舵を行わず、苗の植付状態の確認に専念できるため負担軽減につながる。また、マーカーが不要で田植え時の代かき水を排水せずに湛水したまま作業が可能であるため、排水による八郎湖への環境負荷物質の流入を削減し水質改善も期待できる」との説明がありました。

 システム科学技術学部の石井 雅樹 准教授(情報工学科)から、果実の収穫適期を判定する携帯型の収穫適期定量判定アプリについて紹介がありました。石井先生からは、「スマートフォンに、本アプリをインストールするだけで手軽に収獲適期の判定が可能。経験や勘に頼らず高品質かつ付加価値の高い生産支援に貢献できる。判定に熟練を必要としないので、これから就農を目指す方の参入障壁を下げることも期待できる。」との説明がありました。

 生物資源科学部の渡邊 潤 准教授(フィールド教育研究センター)から、本学フィールド教育研究センター圃場で飼育されている日本短角種の繁殖管理へのAI活用について紹介がありました。渡邊先生からは、「発情発見を補助し人工授精の適期を知らせる機器を活用している。牛個体を学習する人工知能が導入されており、活動情報を個体別に学習し、個体差を考慮したデータ解析の結果が通知される。また、疾病などの異常発生の疑いについても通知される。AI活用により効率的な家畜の飼養管理に繋がっている。」との説明がありました。

 ポスターセッションでは、フィールド教育研究センター長の西村 洋 教授から本学の次世代農工連携拠点センター(仮称)構想の概要について説明があったほか、男鹿・潟上地区のキクの園芸メガ団地における、茎の長さを調整するロボットを導入した”スマート農業”の取り組みなど、様々な研究成果について発表があり、活発な意見交換が行われました。
 本セミナーの司会を務めた生物資源科学部の金田 吉弘 学部長・教授は、「スマート農業の取り組みは、農業が抱える高齢化や人手不足等の課題を解決する大きな鍵となっている。AI、IoTなどの先端技術を活用したスマート農業技術の社会実装が加速化し、本県農業の発展につなげていきたい。」とセミナーを締めくくりました。
 


フィールド教育研究センター 矢治 幸夫 客員教授


生物資源科学部長 金田 吉弘 教授


情報工学科 石井 雅樹 准教授


基調講演の様子


フィールド教育研究センター 渡邊 潤 准教授


フィールド教育研究センター長 西村 洋 教授

 


東光鉄工(株) 鳥潟 與明 UAV事業部 シニアマネジャー


(株)池田 米山 雅宗 G&A事業部事業支援部 係長


基調講演発表者との意見交換


セミナー終了後も活発に意見交換

  
 ※詳細は以下もご覧ください
  東北地域農林水産・食品ハイテク研究会のウェブサイトにリンク