地域ビジネス革新プロジェクトの活動報告会が開催されました

ーアグリビジネス学科/地域ビジネス革新プロジェクトー

 2月18日(日)、男鹿リゾートホテルきららかを会場に、「男鹿市加茂青砂地区」の住民、市民団体および行政職員など約35名の方に参加いただき、アグリビジネス学科地域ビジネス革新プロジェクト【指導教員:重岡徹教授酒井徹准教授林芙俊准教授末永千絵助教】が、本年度約1年間かけて行ってきた活動の概要についての報告会を開催しました。

 同プロジェクトの3年生7名は、活力ある農山漁村の振興策および将来のビジョンを提案することを目的に、人口減少および少子高齢化が進む同地区の歴史文化を学ぶとともに、フィールドワークや住民との交流を通して、生活の実態を把握するとともに同地区の魅力や課題と向き合ってきました。

 報告会では、集落の歴史・文化や生活の現状のほか、経済基盤である漁業と水産物流通についての調査結果を報告しました。過疎化が進展する中、農業と漁業を兼ねて生業にする「半農半漁」や、テレワークなどで生計を立てながら漁業や農業にも携わる人を積極的に受け入れることで、地域の産業の継承や生活の維持に繋げるアイデアなど、現状を踏まえた今後の展望を発表し活発に意見を交わしました。

 参加した郷間達也さんは、「実際に集落を歩き調査し交流を重ねることで、集落の課題や豊かな地域資源を肌で感じることができました。地域の課題解決のためには、自分たちのような若い人や学生が力を合わせて取り組んでいくことが大事だと実感しましたし、アイデアをより深めていくことが必要だと感じました。今後も、実践的な地域活性化のための手法など学び、地域ビジネスの可能性など追求していきたいと思います。」

 参加者の皆さんは、学生の発表を真剣な眼差しで聞き入っていました。加茂青砂部落会・菅原前会長からは「学生達が1年間、密着して調査したり住民と交流したりして集落に活気が戻った。大事なのはこの結果を将来にどう繋げていくか。今回の提言を実現するためにも今後も継続して関わり続けてほしい。皆さん、力を貸してください!!」と、学生へのエールのお言葉をいただきました。
 

1年間の活動を報告し活発に意見交換

若者らしいユニークなアイデアを提案

菅原前会長から学生に向けてエール

様々な体験と住民との交流は私にとって一生の財産

学生の発表に真剣に耳を傾ける

この日は春を思わせる陽気 夕焼けに染まる海!!

交流会も大いに盛り上がりました

こころをひとつに一歩ずつ!!

酒井准教授のコメント

 今年度、私たちのプロジェクトは、男鹿市の加茂青砂地区を対象として農山漁村の現状を学び、地域振興について考える機会を戴きました。 加茂青砂に関する文献の輪読や統計の整理に始まり、5月からは集落内踏査、生活・民俗・集落運営に関するヒアリング、9月の夏季合宿では集落点検、環境整備、蔓編み細工やエゴ作り体験、交流会を行いました。また、これらと並行して男鹿市役所や漁業協同組合にもお話を伺う機会を戴き、2月に活動報告会を開催しました。加茂青砂の皆様をはじめ、ご協力を賜りました皆様に心より感謝申し上げます。 限られた時間ではありましたが、こうした活動を通じて学生たちは地域の魅力を感じ取り、課題を把握し整理する力やコミュニケーションを図る力を高めることができたのではないかと思います。 来年度、学生たちはそれぞれ卒業研究に取り組みますが、加茂青砂で得られた感性や問題意識を土台として、課題抽出力やコミュニケーション力を発揮し、地域社会を良くしていくための研究に取り組んでくれるものと期待しています。また、引き続き加茂青砂に関わる学生や教員もおりますので、少しでも加茂青砂の皆様のお役に立てるよう願っております。

フィールドワーク&住民からの聞き取り調査等

 今後の集落の持続性に関する課題について考察することを目的に、住民生活、食生活、生活・医療インフラ・民俗文化などについて聞きとり調査を行いました。その結果を踏まえ、集落存続につながる方策について提言しました。
 


地元住民の土井敏秀さんの案内でフィールドワーク


菅原前会長から日本海中部地震の体験など講話


集落を隅々まで調査しました


耕作放棄地の現状と対策についても検討した

7/18【高齢化と人口減少】平均年齢70歳以上 高齢化する地域を大学生が訪問

夏季合宿の様子

 同地区の課題と地域資源を探るため、地域の危険箇所や避難経路の確認、集落の歴史や寺社仏閣、石碑、空き家等について調査を行いました。また、小型漁船に乗船し洞窟(カンカネ洞:広さ50畳分にもなる海とつながった岩窟)を調査したり、山ブドウの樹皮を使ったストラップ作りや天然海藻エゴノリを材料にした「エゴ」作り体験をしやりして、地域の伝統文化も学びました。
 


住民との交流会


「エゴ」作り体験、山ブドウ樹皮のストラップ作り


カンカネ洞探索


カンカネ洞

10/4日テレNEWS「高齢化地域を"体験" 合宿で知る地区の魅力と課題」

加茂青砂地区

 加茂青砂地域は、男鹿半島の西海岸にある小さな漁村です。磯は小石が多く、その名のとおり青色に染まる海岸線は、日本海沿岸でも屈指の美しさを誇っています。日本海から大きく入り込んだ湾は、北前船が行き交う時代から風待ちの港として利用され、江戸時代には紀行家の菅江真澄も訪れて、加茂青砂の男女が盆踊りを踊るさまを記録しています。集落南寄りにある緑地広場には、昭和58年の日本海中部地震で津波の犠牲となった合川南小の子どもたちの慰霊碑があり、今も住民の手で大切に守られています。
 


加茂青砂地区全景


集落は狭い路地沿いに民家が建ち並んでいました


集落の目の前は日本海を眺める


平成13年閉校となった旧加茂青砂小学校