政策・経営マネジメントプロジェクトでジョイントゼミを開催しました
本ジョイントゼミは、本学政策・経営マネジメントプロジェクトが企画し、京都大学大学院農学研究科 生物資源経済学専攻 経営情報会計学分野、北海道大学大学院農学研究院 基盤研究部門 農業経済学分野 農業経営学研究室との3者による合同フィールドワークおよび研究交流プログラムとして実施されたものです。
今回は、秋田県大潟村をフィールドワークの舞台とし、大潟村における多角的経営モデルの実態や、村の歴史的背景、最新の行政施策について学び、農村振興への理解を深めるとともに、訪問先の皆様と教員・学生間で活発な意見交換や交流が行われました。
大潟村でのフィールドワーク
大規模農業の集積地である大潟村は、環境保全型農業や直販・ブランディング、農福連携、6次産業化、スマート農業など、多様な経営革新の実践拠点としても知られています。1日目は、農業経営者や博物館、自治体を訪問し、現地での聞き取り調査を実施しました。大規模稲作地帯における多角化・差別化戦略について理解を深めるとともに、大潟村が国策による計画農村として形成されてきた歴史を学び、現在の農業施策の取り組みや課題について考察しました。
訪問先1:黒瀬農舎(有限会社ライスロッヂ大潟)黒瀬 友基 氏
環境保全型農業(無農薬・減農薬)や、消費者との直接提携による「提携米運動」の実践についてお話いただきました。消費者とのダイレクトコミュニケーションや顧客管理の実務、有機‧特別栽培に伴う生産コストと販売価格設定の戦略、さらには世代交代を見据えた新たな販路開拓などについてご紹介いただき、参加した学生や教員との間で活発な意見交換が行われました。
代表の黒瀬 友基 氏

訪問先2:石原 正博 氏
大規模機械化・稲作を中心とする大潟村における「農福連携」の実践についてお話しいただきました。石原さんは、就労継続支援B型事業所である「農福連携サポートつくし」と連携し、青ネギのトリミング作業などを委託しています。障害のある方が安心して働けるよう、作業工程の工夫や安全管理を行いながら労力配分と収益性の両立を目指す取り組みとともに、地域への波及効果についてもご紹介いただきました。その後、大潟村の大規模水田圃場を視察し、参加者は大潟村の米づくりの特徴や農業について理解を深めました。


石原 正博 氏

大潟村の大規模農場を視察
訪問先3:Ponte(ポンテ/大潟村松橋ファーム)
「大潟村松橋ファーム」が運営する直売‧カフェ併設型店舗「Ponte」では、同ファーム代表の松橋 拓郎 氏が「人が集い、新しい価値が生まれる場所」をつくろうと始めた店舗開設の経緯、大潟村ならではの食文化づくり、福禄寿酒造様と連携した「農家と作る日本酒」プロジェクトについてお話を伺いました。お話の後には、昼食としてPonteの看板メニューである「干拓カレー」をいただきました。松橋ファームで収穫された旬の野菜を味わえるカレーに、参加者からは自然と笑顔がこぼれました。また、店内では本学同学科同プロジェクトを卒業した保坂 君夏さんが立ち上げた「さとやまコーヒー」によるオリジナルブレンド「干拓者ブレンド」も販売されており、先輩とのつながりも感じられる機会となりました。

松橋ファーム代表の松橋 拓郎 氏

美味しいカレーに笑顔がこぼれます

参加者同士の交流も深まりました
訪問先4:大潟村干拓博物館
実際に干拓の歴史を歩んできた博物館ボランティアの方から、八郎潟の干拓史や国策農村の形成史、営農基盤の構造について館内を案内、解説いただきました。大潟村の一戸15~20ha超級という日本屈指の水田営農基盤が成立した背景について理解を深めました。
大潟村の形成史を解説いただきました

訪問先5:大潟村役場
産業振興課職員の皆さんから、総合農業振興計画や推進施策などの大潟村の農業振興政策についてお話を伺い、その後活発な議論を交わしました。参加した学生からは「大潟村独自の支援施策にはどんなものがあるか」「乾田直播は導入しているか」「新規就農者への支援制度にはどのようなものがあるか」などの質問が挙げられ、大潟村の農業支援について理解を深める機会となりました。
役場職員の方と議論を交わしました

真剣に聞き入る学生

熱心な質問が挙げられました
濱村 寿史 准教授[専門:農業経営学]は、「大潟村における水田作経営の動向と課題」をテーマに、大潟村の農業の特徴や営農状況、経営規模、所得、労働力構成などのデータを基に現状と課題を分析し、その解決に向けた方策を紹介。続いて、同学科4年の齋藤このみさんは、「米価変動下における大規模水田作経営の用途別米作付規定要因」をテーマに発表し、主食用米と加工用米・飼料用米などの非主食用米に分け、大潟村における用途別作付面積の推移や聞き取り調査の結果を報告。今後は経営体間の比較や関係機関への調査を通じて、作付対応の違いが生じる要因を明らかにしていく展望を示しました。

濱村 寿史 准教授

齋藤このみさん
発表者・参加者双方が研究への理解を深めました
合同研究発表会・交流セッション
2日目は会場を秋田キャンパスに移し、秋田県立大学の4年生、京都大学と北海道大学の大学院生による研究発表を行いました。本学からは、園芸メガ団地事業の導入や都府県におけるギガファーム新設の効果・意義などをテーマとした卒業研究を発表。各大学の学生・教員と研究テーマの設定や分析方法、今後の展望について活発な議論を行い、研究をさらに深める貴重な機会となりました。発表後には大潟村の農業の特徴や今回の研修で得た学びについて3グループに分かれワークショップを行いました。現地視察や関係者からの講話を踏まえ、それぞれの視点から大潟村ならではの農業環境や営農の特徴について理解を深めていました。
最後に各大学の教員が2日間を総括し、本学の上田 賢悦 教授[専門:農業経営学]は、「今回の研究交流会をたまたまの出会いではなく、これからの研究に活かせる『出会うべくして出会った関係』と思っています。4年生は卒業論文、大学院生は研究活動をさらに深め、3年生は自らの視点を磨きながら研究活動を進めてほしい」と参加者へエールを送り、2日間の研究交流会を締めくくりました。

2班に分かれての研究発表会

熱心な質疑応答が行われました

2日間の学びをまとめます


「出会うべくして出会った」つながりを大切に、それぞれの研究をさらに深めます!
