【秋田COI-NEXT】「片手で持てる超軽量の椅子」を開発中〜県産材を活用し持続可能な地域産業と暮らしの創出へ〜

 本学木材高度加工研究所の足立 幸司教授[専門:木材加工学]は、秋田公立美術大学や地域企業等と連携し、県産材の杉合板やシナ合板を活用した「超軽量チェア」の開発に取り組んでいます。試作中の椅子は1kg台前半という驚異的な軽さを実現しており、高齢者や小柄な方でも片手で軽々と持ち上げることができます。 

  一般的な椅子の重量は4〜5kg程度であり、2kg台であっても家具業界では「超軽量」と称されます。今回開発を進めている椅子は、その基準を大きく下回る「1kg台前半」を目指す画期的な挑戦です。デザインのベースとなったのは、秋田公立美術大学の今中隆介教授が2008年に実験的に製作したシナ合板の椅子です。この試作品を起点とし、足立教授や有限会社萩原製作所が参画、地域の未利用資源活用とさらなる軽量化を目指し、県産杉合板を用いた新たな椅子づくりへと展開しました。
 

 木材加工を専門とする足立教授は、県内に豊富に存在する「秋田杉」に着目しています。杉は木材の中でも密度が低く軽量という長所を持つ一方で、構造部材としての強度確保と極限までの軽量化をどう両立するかが大きな課題でした。この課題を克服するため、材料の段階から見直しを行い、接着剤の水分量の調整やプレス時の圧力を最小限に抑える技術など、本学が開発した高度な合板加工プロセスを導入することで、木材本来のしなやかさと強度を維持しながら、限界までの軽量化に成功しました。今後の展開としては、シナ合板モデルについては、 今年度内の販売開始を目指し、現在、木材高度加工研究所にて耐久試験・安全性の検証を実施しています。また、杉合板モデルについては、 実用化および量産化に向けて、県内での安定的な杉合板の生産体制整備を鋭意進めることにしています。

 なお、足立教授は、木なのにぐにゃぐにゃ曲がるという世界初の『やわらかい木』の開発や、トヨタ車体らと共同で秋田スギを原料とした木粉入り複合樹脂 TABWD® (タブウッド)を用いた小型電気自動車『あきた もくまる』を開発するなど、木を使った様々な挑戦が進行しています。

足立教授のコメント

 重厚で重みのある家具も魅力的ですが、移動や掃除がしやすい『軽い椅子』を提案することは、多様化する現代の暮らしに新たな選択肢をもたらします。地域資源である杉を県内で加工・製造し、暮らしの中で広く使われるようになれば、人々の身近に木製品がある豊かな生活を取り戻すきっかけになります。超軽量な椅子は、高齢化が進む社会においても非常に高いニーズがありますので、国内にとどまらず秋田から世界へ向けてその魅力を発信していきます!
 

学生に実践的な研究、加工技術を指導する足立教授(木材高度加工研究所) 

 本取り組みは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の公募事業、共創の場形成支援プログラム「COI-NEXT」の一環として進められています。
 

木材製品展示商談会に出展

 【参考】令和8年9月3日付け秋田魁新報 片手で軽々持てる椅子、秋田県産材で製作 県立大、秋田美大など連携