【プレスリリース】「クマ監視システム」の実証試験を公開しました

 秋田県内をはじめとする広範囲でクマの出没が急増し、人身被害や地域社会への影響が深刻な社会問題となる中、本学では地域住民の皆様の安全な暮らしと里山環境の維持に向け、先端技術を活用した研究を鋭意進めています。

 令和8年6月11日(木)、藤里町にある化粧品メーカー「アルビオン白神研究所 」にて、システム科学技術学部 情報工学科の森田 純恵教授[専門:システムデザイン]が開発・実証を重ねている「クマ監視システム」の実証試験を実施し、その様子を報道関係者の皆様に公開いたしました。本システムは、監視カメラの画像とAI技術を組み合わせることで、クマの出没を自動で検知する仕組みです。AIがクマを感知すると、連携するスマートフォンなどの端末に即座に通知が飛び、画像とともに現場の状況を関係者や地域住民にリアルタイムで共有することができます。本学がすでに特許を取得し社会実装しているクマ対策技術に加え、さらなる安全網の構築を目指す喫緊の取り組みです。今回は、システムの安定運用に向けたカメラの設置や初期設定作業を中心とした実証が行われました。設置した監視システムは冬まで実験を続け、クマの出没数のデータを収集することにしています。
 

カメラはソーラーパネルにより充電される

スマートフォンと連携、住民へ即時通知されます

 アルビオン白神研究所 は、約70アールの畑で化粧品の原材料となるブドウの生産を行っており、毎年200kgほどのブドウがクマなどによる食害を受けています。また6月以降、枝の管理など屋外での作業も多く、クマの出没が増える傾向にあり、作業員の安全確保が喫緊の課題になっています。研究所の小平努所長も、従業員の安全を守るためのクマ対策を極めて重要な業務として位置づけており、「ブドウを守るのではなく、従業員を守ることが最も重要。クマ対策はクマの行動を把握することだ大事で、監視システムが役立つのではないか」と大きな期待を寄せられています。 
 

約7000平方メートルの畑から年間約2トンのブドウが収穫される

アルビオン白神研究所

 開発を主導する森田教授は、「現在運用されている秋田県のクマ情報マップシステム『クマダス』などは、過去に出没した場所を共有するには非常に優れています。しかし、人身被害を本質的に防ぐためには、出没した後ではなく、出没する前(あるいは直後)にクマを察知し、人が未然に回避できるリアルタイムの仕組みを作っていくことの方が有効です。」と、本システムの社会的な意義と今後の展望について語りました。
 

 また、卒業研究として本研究に取り組んでいる学生たちは、「今回実証を行っているアルビオン白神研究所のように、豊かな自然の恵みを活かして屋外で作業される方々が、毎日安心して働ける環境をデジタル技術で支えたいです。AIによる自動検知の精度をさらに高め、冬までの長期的なデータ収集を通じてシステムの信頼性を検証して、その成果が地域社会へ還元できるよう研究を加速させていきます。」と決意を語りました。
 

 なお、今回は高大連携およびデジタル人材育成の一環として、AIなどのデジタル技術を活用した探究活動に取り組んでいる、秋田県立能代松陽高校の生徒の皆さんにも見学にお越しいただきました。生徒たちは、最先端のAI技術がどのように地域の課題解決、ローカル・イノベーションに活かされているのかを真剣な表情で見学し、森田教授の説明にも真剣に耳を傾けていました。
 

 将来的には、防犯カメラなどにもこの監視システムを活用することを視野に入れております。本学は今後も、研究成果の社会実装を鋭意進めるとともに多発するクマの脅威から地域住民や働く人々の安全を守る対策に真摯に貢献していくことで、安心・安全な地域社会の実現に寄与してまいります。