【プレスリリース】県内初の窒化処理事業に挑む! 大学発ベンチャー「ナイトライズテクノロジー合同会社」が誕生


 システム科学技術学部 機械工学科/先端加工技術研究室から、地域の製造業に革新をもたらす、大学発ベンチャー「ナイトライズテクノロジー合同会社」が設立されました。同社は自社で開発した画期的な小型窒化処理装置『ナイト・ライジング』を核に、技術革新・次世代育成・地域共創の3つの軸で、秋田から世界へと挑戦をスタートしました。金属に窒素を浸透させて強度を高める「窒化処理」関連事業としては、秋田県内初の挑戦です。

「ナイトライズテクノロジー合同会社」会社概要

会社名 / 英文表記:ナイトライズテクノロジー合同会社(Nitrides Technology LLC.)
設立年月日:令和8年(2026年)8月3日
所在地:秋田県立大学 本荘キャンパス GⅡ501
代表者・役員構成:
CEO/代表社員:加藤 勇陽(大学院・システム科学技術研究科 博士前期課程1年)
業務執行社員(CTO・技術顧問):鈴木 庸久 教授、佐藤 充孝 准教授
社員:河端 柚季、鈴木 謙人(大学院・システム科学技術研究科 博士前期課程1年)
主な事業内容:
  • 研究・教育用デスクトップ熱処理・窒化処理装置『ナイト・ライジング』の開発・製造・販売
  • 各種熱処理用治具、ボート、高周波コイルの設計・販売
  • 金属部品の特急受託処理、材料試験・評価、プロセスインフォマティクス(PI)を活用したデータ解析・コンサルティング

業務執行社員(CTO・技術顧問)  鈴木 庸久 教授

業務執行社員(CTO・技術顧問)  佐藤 充孝 准教授

創業のきっかけと開発ストーリー

 加藤 勇陽CEOらは、秋田大学と秋田県立大学が連携し、脱炭素社会に向けた次世代の航空機電動化技術を核として、地域産業の活性化や高度人材の育成を目指す「航空機電動化プロジェクト」に参加しており、航空機用燃料ポンプに使われる「ギヤシャフト」の精密加工技術および熱処理・窒化処理技術の開発に取り組んできました。
 しかし、開発を進める中で大きな課題に直面します。それは、金属の表面を硬化させて耐久性を高める「熱処理・窒化処理」の工程でした。当時、秋田県内には熱処理や窒化処理を専門に請け負う業者が存在せず、試作品のたびに県外業者へ外注せざるを得ない状況でした。そのため、試作サイクルに要する時間(1サイクル回すだけで約1ヶ月近く)のリードタイムと大きな輸送コストが発生していました。
 加藤CEOは、「削ったその日に手元で熱処理・評価できるスピード感がなければ、ものづくりの進化は止まってしまう。この地域の課題を自分たち学生の手で解決したい」といよう強い情熱が、この度の起業の原動力となりました。

卓上型ハイブリッド装置『ナイト・ライジング』

 加藤CEOが設計・開発したのが、窒化処理の試験を行う小型装置『ナイト・ライジング』です。1台2役のハイブリッド卓上設計で、IH調理器等で用いられる「高周波誘導加熱」を活用し、研究室やオフィスの卓上で、1000℃加熱+急速冷却(焼き入れ)と600℃ガス窒化(表面硬化)の連続処理が可能です。また、特殊な制御技術により、アンモニア濃度2体積%以下の極低濃度環境下での窒化処理を実現し、従来のような大掛かりな工場排気設備が不要で、身近な環境でも安全に運用できる革新的な設置性を備えています。
 同社によると、高周波技術を融合した窒化処理装置の商用化および事業展開は業界初の取り組みであり、現在、装置本体およびその革新的な処理プロセスに関する特許を出願準備中とのことです。本装置は、大学や高専・工業高校などの教育研究機関における実験用や、企業の研究開発部門における少量の試作、条件検証用としての需要を見込んでおり、現段階では、想定販売価格は1台あたり300万円前後とし、導入しやすい価格帯で最先端の表面改質環境を提供することにしています。

今後の展開と将来展望

 ナイトライズテクノロジーが描く未来は、卓上型装置にとどまりません。精密部品は一度工作機械から取り外すと、再装着時に微小な位置ズレ等が生じ、再段取りの手間とコストが跳ね上がります。同社は高周波加熱の局所急速加熱特性を活かし、将来的に工作機械の内部で切削から熱処理・窒化までを連続で完結させる「機上インライン処理システム」の社会実装を目指しています。究極の段取りゼロ・リードタイム激減という、世界の製造業の常識を変える技術展開を見据えています。また、事業運営に際して、本荘由利地域の製造業約50社で構成される「HYperNetAkita」と深く連携することにしており、地元の優秀な協力工場に精密部品加工を委託しつつ、同社は特急受託処理や装置、レシピ提案を提供するという、双方向の地産地消型ものづくりエコシステムを構築し事業を推進することにしています。

広報担当から

 同社の定款を見ますと、学生代表が卒業する際に後輩へ経営権とノウハウをバトンタッチしていく持続可能なモデルを採用しています。同社には、研究とビジネスを結びつけて、技術と経営の双方を理解した実践的エンジニアを毎年社会へ送り出す、人材育成の場としての役割にも大いに期待したいと思います。県内初の窒化処理事業として、輸送コストや納期の短縮による地元製造業への直接的な貢献はもちろん、高周波技術を活用した独自装置『ナイト・ライジング』の特許出願や、地元企業ネットワーク『HYper Net Akita』との連携など、大学発ベンチャーならではのアグレッシブな展開が非常に頼もしく感じられます。本学は、地域産業の課題解決と若き起業家の挑戦をこれからも全力で支援しつつ、広報でもこれを紹介してまいります。地域のものづくりを足元から照らし、グローバルな飛躍を目指す、ナイトライズテクノロジー合同会社の今後の展開に、どうぞご期待ください!