令和4年度入学式を執り行いました

 令和4年4月5日、令和4年度秋田県立大学入学式が執り行われ、学部生410名(システム科学技術学部246名、生物資源科学部164名)、大学院生113名が入学を許可されました。
 
 本年度の卒業式は昨年に引き続き、式典会場を学部・研究科ごとに、秋田キャンパスと由利本荘市文化交流館カダーレの2会場に分散し、式への参加対象を新入生に限定するなど、新型コロナウイルス感染症防止対策を講じながら挙行いたしました。 

 小林淳一学長は式辞の中で、ビジネスモデルの転換やAIの進展、DX(Digital Transformation)やSDGsの推進など、社会環境の様々な変化を挙げながら、「未知なる課題の多い世の中では、自ら新たな価値を創造することや新たな社会の仕組みを作っていく能力が求められる。秋田県立大学でしか味わうことのできない様々な体験を積み重ねることで、自ら課題を見つけ、そこに潜む本質を見抜く力と課題を解決するための”創造力”を磨いてほしい。成長を実感できるような大学生活となることを祈念している」と式辞を述べました。

 また新入生を代表して、システム科学技術学部の奥村 海月さん(秋田県/大館鳳鳴高校出身)と生物資源科学部の大野 陽加里さん(秋田県/秋田北高校出身)、は「常に未来の大きな目標を見据えて勉学に励み、自信と誇りを持って自らを向上させ、先輩たちとともに無限の可能性を切りひらいていきます」と力強く宣誓しました。

「夢に向かって」「出会い大切に」秋田大と県立大で入学式(令和4年4月6日付け 秋田魁新報電子版にリンク)
 

 

★システム科学技術学部・システム科学技術研究科(由利本荘市文化交流館カダーレ)


新入生代表挨拶 奥村 海月 さん


在学生からの歓迎の言葉 渡邉 啓太 さん

 

★生物資源科学部・生物資源科学研究科(秋田キャンパス)


新入生代表挨拶 大野 陽加里 さん 


在学生からの歓迎の言葉 松本 紘汰 さん


大学院に入学 研究に励みます!!

 県立大で入学式 秋田・由利本荘の2会場で実施(令和4年4月6日付け秋田魁新報電子版にリンク)

学長式辞全文

 秋田県立大学に入学された皆さん、そして大学院へ進学された皆さん、おめでとうございます。秋田県立大学の教職員を代表して、皆さんの入学を心から歓迎致します。また、皆さんのご家族はじめご関係の皆さまにも、心からお祝いを申し上げます。ただ残念なことですが、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、従来とは違う入学式となりました。本来であれば、本学の講堂でご来賓をお迎えし、盛大に入学式を執り行い、ご家族の皆様とともにお祝いするはずでしたが、それが叶わなくなりました。入学式は、昨年同様システム科学技術学部、生物資源科学部それぞれ個別に行うこととしました。

 秋田県立大学は、21世紀を担う次代の人材育成と、秋田県の持続的発展に貢献することを基本理念として、1999年に創立され、今年で開学24年目を迎えました。この間に本学を卒業した卒業生総数は約8,600名になり、現在さまざまな分野で活躍しています。
はじめに皆さんにお伝えしたいことは、新型コロナウィルス感染によって私たちの暮らし、社会のシステムが大きく変わったと言うことです。元に戻るのではなく、新しい社会構造に向かって急激に変化しています。それに順応しながら自らも社会を変えていくと言う積極的姿勢を持って、本学で学ぶべきと考えます。まず、このことをしっかり心に刻んで下さい。
 
 さて、大学に入学された皆さんに大学生活を行う際、是非心にとめて頂きたいことを二点お伝えします。一つ目は、大学生として積極的に自分を磨くマインドを持つことです。大学は高校とは違います。大人に向けての準備段階に入ります。自分で考え行動することができます。失敗してもかまいません。失敗したら反省し修正すればよいのです。その繰り返しを通し皆さんは成長します。将来の夢を見つめながら主体的に学ぶ姿勢が大事です。本学には、学生自主研究制度が開学以来あり、全国的にも有名です。教員の指導のもと1,2年生から研究の感覚を、体験を通し身につけます。また数学や物理でつまずいた場合は、皆さんの先輩が教えてくれる「駆け込み寺」と言う仕掛けもあります。学生生活全般に対して、本学の教員、職員はきめ細かく皆さんをサポートしますから、安心してください。一方、友達を作るのも大事なことです。サークルや、ボランティア活動も盛んです。自分で学ぶ以上に友達から得るものは大きいです。

 二つ目は、秋田とはどんなところか折に触れて考えてほしいと言うことです。東京への一極集中が常態化しています。その結果、地方では人口減少が進み、秋田県はその先進県です。この流れを少しでも止めるためには皆さんの目線で秋田の素晴らしさ、改善すべきことは何かを考え、より良くする活動を実行してほしいと思います。秋田は歴史的に見ると資源立国です。かつては鉱山資源、石油、木材さらにはあきたこまちで有名なお米、そしてこれからは、風や地熱等の再生可能エネルギー資源が秋田を支えていくことになると考えます。また自然災害が最も少ないところでもあります。この様な風土で暮らす人々は心に余裕があり暮らしが豊かです。従って、皆さんには、地域の人たちとの文化交流やお祭りへの参加を通し、そこで生活する人たちの人間性、様々な行事の奥深さに触れることによって心の豊かさを養ってください。秋田の良さを実感することによって地域を知り、幅広く豊かな人生の価値観を身に付けることができます。そして、卒業する時には、秋田県立大学に入って良かったと感じることを願っています。

 次に大学で学ぶべき二つの事柄についてお話しします。始めは、皆さんはこれから何を基準に据え、勉学を進めるべきかについてです。具体的には、私たちの住む地球を持続可能な状態に保つ事をすべての行動の基本としていかなければならないと言うことです。爆発的な人口増加、便利さを追求する機器の発達等によって化石エネルギーの大量消費が地球上のあらゆるところで起きています。これは、地球資源の枯渇に繋がる事はもちろんのこと気候変動に大きな影響を与えています。地球は繊細で、微妙なバランスによって成り立ち、生物の多様性が保たれています。化石エネルギーの消費は、CO2を発生させ地球温暖化の大きな原因となっていると言われています。皆さんも最近のスーパー台風、頻繁に起こる集中豪雨等から今までと違う変化を感じていると思います。国連では、さらに人々の平和な暮らしまでを含め、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた17の「持続可能な開発目標(SDGs)」を2015年に発行させました。国連に加盟するすべての国は、全会一致で採択されたこのアジェンダをもとに、2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な社会を実現するための役割を果たすことが求められています。皆さんは、これから本学で学び、将来社会に出て行くわけですが、このような背景を十分理解し、この基本的な考えを常に持ち続け、すべての行動の原点とすべきであると考えます。本学としてもSDGsに沿った教育研究を進めており、本学ならではの特徴を伸ばしていきます。
次は、技術革新が進む中で何に着目し、将来に向かって自分をどう磨くかです。データサイエンスやDX(Digital Transformation)と言う言葉を聞いたことがあると思います。様々な情報を、IoT(Internet of Things)を介して集め、その情報を、AI等を使ってあらゆる角度から分析し、そこから新たな価値を創造することや社会の新たな仕組みを作っていく、そのような能力が求められています。この能力は単に知識を積み重ねるだけでは獲得できません。課題を見つけそこに潜む本質を見抜く力と課題を解決するための創造力が必要です。これから学ぶ大学での教育はそれらの能力を磨く一つですが、普段の生活の中でも磨くことができます。創造力を高めるとはどういうことなのか、本学在学中にその答えに繋がるヒントを見つけて欲しいと思っています。そうすることによって皆さんには素晴らしい能力、価値が備わります。

 この様な時代背景の中で皆さんは将来仕事をし、生活していくことになります。未知なる課題の多い世の中をチャンスと捉え、この秋田県立大学で自分を磨き、知力、体力をつけ、将来に備えてほしいと考えます。

 最後に大学院のことに少し触れておきたいと思います。本学のような理系の大学においては、学部卒業後に大学院に進学して、修士課程以上を修了することが、求められるようになってきました。それは、専門分野の深化により、専門性を十分身につけるには、学部の4年間の教育だけでは足りなくなってきているためですが、前述したような社会の大きな変化に柔軟に対処できる能力を大学院で十分身につけて欲しいとの願いもあります。皆さんの先輩たちの多くが、大学院を修了することにより、学部卒の場合に比べ、より専門性を活かせる上級の職種に就いて、さまざまな分野で活躍しています。ぜひ大学院進学のことも選択肢に入れて、1年生の時から大学生活全体の設計を心がけて下さい。

 皆さんがこの秋田の地で勉学に励むと共に、大学でしか味わうことのできない貴重な体験を積むことによって、卒業時には成長が実感できるような大学生活がおくれることを祈念し、学長の式辞とします。

学長 小林 淳一