ジョブシャドウイングレポート(株式会社東北フジクラ)

ジョブシャドウイングレポート(株式会社東北フジクラ)

 

 

 平成29年3月8日(水)、株式会社東北フジクラ(秋田市御所野湯本五丁目1-2)において、ジョブシャドウイングを行いました。参加者は、システム科学技術学部機械知能システム学科2年生2名、電子情報システム学科2年生2名の計4名でした。

 

 株式会社東北フジクラ(以下、東北フジクラ)は、1989年に御所野地区の誘致企業第1号として設立された、株式会社フジクラ(以下、フジクラ)100パーセント出資の子会社です。社員は約450名です。携帯電話、デジタルカメラ及び自動車用途としてのFPC(フレキシブルプリント配線板)、血圧計・産業用空圧機器用途の半導体圧力センサ並びに医療用途に多く使用されているセラミック酸素センサなどを生産し、国内や海外の大手メーカーに納入しています。今回はこれら製品の製造工程を間近に観察しました。

 

 はじめに、佐藤光晴管理部総務グループ長から会社の概要説明や製品とその用途などについて紹介していただきました。FPCやセンサを生産しているのは国内のフジクラグループの中では東北フジクラだけとのことでした。社員の健康管理についてもしっかり取り組み、福利厚生が充実している様子でした。

 次に、塗(ぬり)健冶社長から「経営者講話」をしていただきました。
 塗社長は、講話の冒頭に「これから社会人になるが、学生の間に何が自分のやりたいことなのか掴んで欲しい。それから、みなさんは秋田県から期待され、税金で勉強させてもらっている。その分県に何らかの形で返すことも頭に入れておいて欲しい」と、講話のねらいを話しました。さらに、「小中高や大学生のうちは入学式や卒業式など、社会がけじめを作ってくれている。しかし、社会人になると何もけじめがなくなる。社会に出たときに、これから生きていく人生はこれまで生きてきた人生よりも遙かに長い年月になる。その人生をどう生きるか、今から考えておいて欲しい」と加えて話しました。
 会社のスローガンの「全員力」と「考動力」について紹介がありました。「全員力」とは、ルールを守ること、役割を守ること、時間を守ることで、「考動力」とは、自ら考え、自ら行動することです。塗社長は「考動力」を実践することによって、「自分の仕事がどのような意味を持ち、どのような成果を生み出すかを考えて仕事をすると、モチベーションが高くなり、より良い仕事に結びつく」と説明してくれました。また、学生と社会人の徹底的な違いについて「学生は大学にお金を払っている。しかし会社は、仕事をしてもらった対価として社員にお金を払う。その違いを知って欲しい。社会人を評価する試験はないので、自分で評価するしかない」と話してくれました。

 塗社長は、一度は地元から離れてみることを勧めたいとして「秋田や岩手の人たちは環境が良すぎる。自分が住んでいる環境と違う県外や都会に行っていろいろな経験を積んできて欲しい。自分たちの今の戦場(仕事)は国内ではない。製品が使用されているのは海外。秋田にいながらもすでに戦う場所は海外にあるということを知って欲しい」と、これからはもっと海外を意識する必要があることを強調していました。
 次に、親会社であるフジクラの概要や主要製品などについて紹介があり、東北フジクラの位置づけとしては、センサとしてはフジクラグループとして唯一の拠点、FPCではフジクラグループの海外拠点のマザー工場になろうとしているとのことです。秋田ではFPCの新製品のプロトタイプを設計・試作を行い、それを中国・タイ・ベトナムにあるフジクラグループの製造拠点で生産しているとのことです。海外ネットワークについても分かりやすく説明していただきました。
 講話の最後に、塗社長から「人に言われてから行動するのではなく、自分で考えて、自分で行動すること。エンジニアになるためには、大学時代は、技術的な知識を身に付けるよりも、技術的な欲求を持って欲しい。知りたいと思う気持ちを強く持ち続けることで、社会人になったとき、その道を究められる」とアドバイスをしていただきました。

 

 続いて、「先輩たちによる会社生活や仕事についての説明」として、本荘キャンパス機械知能システム学科及び電子情報システム学科卒業の先輩3人と情報交換を行いました。
 4月から3年生になる参加者からは、「研究室の選択方法はどうすればよいか」という質問があり、OBからは「自分の趣味ややりたいことに沿った研究室を選ぶのが良い」などの助言がありました。また、県内で就職先を探すときには、趣味の中から一寸した疑問でもそれをどんどん結びつけて、県内企業を探してみる方法が良い、といったアドバイスをいただきました。また、先輩たちに「入社前のイメージと入社後のギャップはあるか」「大学時代にやっておけば良かったことは何か」「仕事でつらいと思ったことはあるか」「入社後の研修はどのようなことをするのか」などを尋ね、OBは丁寧に答えてくれました。OBからも現在行っている仕事の内容を紹介してくれました。先輩と後輩ということですぐに馴染み、活発な意見交換が行われました。昼は、本学OBと参加学生とのランチミーティングが行われ、さらに親睦を深めました。
 午後からは、工場に移動してメンターの案内により圧力センサの製造工程を観察しました。大規模なクリーンルームに入室し、メンターから製造機械のしくみなど説明を受けました。
 次に、酸素センサの製造工程を観察し、センサを製造し組立てるのは非常に細かく根気のいる作業であるとの印象を持ちました。
 最後に、FPCの製造工程を観察しました。各工程の作業内容や機械設備についてメンターが丁寧に説明してくれました。工場は非常に大きく、作業工程もたくさんありましたが、メンターの方々の適切な案内で予定時間内に観察することができました。

 

 見学終了後に、塗社長やメンターをしていただいた本学OBと参加した学生による意見交換を行いました。学生からは仕事をする意味や目標などについて尋ね、塗社長からも学生に対して会社の第一印象やものづくり以外で何をしたいかなどの質問が出され、和やかな意見交換となりました。

 

◎ジョブシャドウイング参加の感想は?
・県内にこのような大手企業があることを、参加して初めて知った。
・何を生産しているのかパンフレットだけではよく分からなかったが、実際に生産しているものが見られた。
・社長と社員間の雰囲気が良く、社員それぞれがやりがいを持って仕事をしていた。
・会社で働くことについて、今まではあまり考えたことがなかったが、社長や社員の皆さんがそれぞれ熱い思いを持って働いている姿を見て、働くということに対する考えが変わった。

◎この経験を今後の学習や学生生活にどう活かしたいと思いますか?
・今後の学生生活で、自分が興味のあるものを見つけたいと思った。
・自分の好きなものや興味を持ったことの中で、疑問に思ったことから何をしたいのか考えていきたい。
・技術的な興味を高めることをしていきたい。
・「考動力」を意識しながら学生生活を送りたい。
・社長が言っていたように、学生である今の時期から「考動力」を身に付けるためのトレーニングを始めるべきだと感じた。
・県内にこんな素晴らしい企業があることを初めて知ったので、他の県内企業についても調べたい。

 

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【社長講話】

【先輩たちとの意見交換】