平成29年度卒業式・大学院修了式を執り行いました

平成29年度卒業式・大学院修了式を執り行いました

 

 

 3月23日、秋田キャンパス講堂において平成29年度卒業式が執り行われました。佐竹敬久秋田県知事をはじめ、多くの来賓の方々にもご参列いただき、学部生372名、大学院生86名が新たなる決意と希望を胸に卒業・修了しました。


 学位記授与後、小林学長は告辞の中で、「これからは、ものの見方を違う視点から見直す、今までは無関係と考えられていたものを繋いでみる発想の転換と、そこに新しい価値を見いだす、そのセンスを磨いて欲しい」と卒業生・修了生を激励しました。


 また、卒業生・修了生代表の内田晶さん(生物資源科学部)は、「秋田県立大学で培った知識や技術、また各々の個性をそれぞれの分野で存分に発揮し、精進します」と力強い答辞を述べました。

 

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【学長告辞全文】

 

 卒業生のご家族の皆様、ご来賓の皆様、本日は秋田県立大学の卒業式・大学院修了式にご出席いただき、まことに有難うございます。

 

 システム科学技術学部226名、生物資源科学部146名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。大学院システム科学技術研究科及び生物資源科学研究科において、前期課程を修了し修士の学位を得られた83名 の皆さん、後期課程を修了し博士の学位を得られた3名の皆さん、修了を心からお祝いを申し上げます。また、今日まで学生・院生の皆さんを支えてこられたご家族の方に、大学を代表して心からお喜びを申し上げます。

 

 本日卒業ないし修了される皆さんは、これから社会人あるいは大学院生として、様々な分野で活躍されることになりますが、それぞれの心構えについて始めに触れたいと思います。まず企業等に入社される皆さんについてです。まずは生活のリズムをしっかり作るように心がけてください。慣れるまで大変ですが、徐々に慣れてきますのでそう心配することはありません。会社は皆さんの態度に注目しています。そのポイントは二つあります。一つは、気持ちの切り替えがきちんとできているか、もう一つは、前向きな態度で仕事に取り組もうとしているかです。仕事がすぐに出来るとは思っていませんので、そこは安心してください。そこで、皆さんに是非やってほしいことを二つ述べておきます。一つは、会社でのいろいろな説明会や研修があると思いますが、思い切って質問することです。どんな細かいことでも結構です。自分自身の気持ちが前向きになると共に、会社と自分が繋がった気がします。二つ目は、職場に配属になり仕事のやり方が分かって来たら、周りをよく見てください。いろいろな手順や決まり事があります。どうしてそうするのだろうかと疑問に感じる事や、こうした方が良いのではないかと言うことをまとめ、職場に提案することです。これは入社一年目の人だけに出来ることです。二年目になると慣れてしまって感じなくなってしまうからです。ここには、会社の仕事のやり方や働き方を変える大きなヒントが隠されている事がよくあります。この二つの点を心に留め実行してください。職場で認められ仕事がやりやすくなる秘訣です。一方、大学院へ進学する皆さんは、これからより高度な研究を行うことになります。研究とは研究テーマの設定、研究計画立案、実行、まとめを行うことですが、そこには当然未知な部分があり、高いハードルが隠れています。それをどう乗り越えるか、その方法論を学ぶことが最大の目的です。乗り越え方は様々です。そこで起きている事柄を分析、整理し、戦略を練って立ち向かう事になります。道は一つではありませんので、焦らずじっくりとした気持ちが必要です。そして、自分一人で抱え込むことはありませんので、教員、あるいは先輩の指導を積極的に受ける事が大事です。一つひとつのハードルをクリアしていく時の喜びを是非体験してください。この苦労をすればするほど、実力が付くことになります。期待しています。

 

 さて、社会の変化についてお話ししておきたいと思います。日本では、良いものを安く大量に生産し世界シェアを獲得することによって利益を確保するものづくり産業のビジネスモデルが長く続いてきました。家電製品や半導体メモリーであるDRAMがその代表格です。しかし日本が先頭を切って走ってきた時代はこれで良かったのですが、生産技術が確立していくと生産設備への投資力があればキャッチアップできてしまうことから、コスト競争になり、東南アジア諸国に生産拠点が移ることにより、日本においてこのビジネスモデルが破綻しました。見方を変えると、トレンドが明確でビジネスリスクの少ないビジネスモデルを選択したことが破綻の一番の原因だとも言えます。これを反省し企業は変わりつつあります。それがイノベーションによるビジネスモデルです。イノベーションとは、「新結合」、「新機軸」、「新しい切り口」、「新しい捉え方」、「新しい活用法」等のことです。よく言われる「技術革新」とは必ずしも等しくなく、「経営革新」の事です。従って、このビジネスモデルは、アイデアから社会的に意義のある新たな価値を創造し、社会を変革しながらビジネスを成立させるものです。また、このイノベーションについては、今までのものをすべて否定し、新たに創ることではなく、今までの延長線上に位置づけられるものだと考えています。新しい価値の創造をベースとしたビジネスは以前のビジネスとは異なり、簡単にキャッチアップできるものではありません。ものの見方を違う視点から見直す、今までは無関係と考えられていたものを繋いでみる発想の転換と、そこに新しい価値を見いだす、そのセンスが最も大切だと考えます。従って、これから活躍される皆さんにとっては、この考え方がもっとも大事だということを心に留め、このセンスを磨いてほしいと切に願います。

 

 最後に、皆さんはそれぞれの場所で今後活躍されていくわけですが、学ばなければならない事がいろいろ出てくると思います。これからは一生働きながら勉学するのがあたりまえの時代になります。本学では皆さんが必要な時にいつでも本学で勉強できる体制をさらに充実させていきますので、気軽に声をかけてください。私たちはいつでも待っています。また県外に出られる皆さんは、周りの皆さんに秋田の良さを宣伝して頂くと共に、なるべく多くの機会を作ってまた秋田にお出でください。

 

 皆さんが健康に留意され、それぞれの環境の中で成長し、活躍される事を祈念し、学長の告辞とします。

 

秋田県立大学 学長 小林 淳一