令和3年度秋田県立大学卒業式・大学院修了式を執り行いました

 3月23日、令和3年度秋田県立大学卒業式・大学院修了式が執り行われ、学部生390名、大学院生65名が卒業・修了し本学を巣立ちました。
 本学では、昨年度に引き続き、式典会場を学部・研究科ごとに2会場に分散し、式への参加対象を卒業生・修了生のみに限定するなど、新型コロナウイルス感染症防止対策を講じながら挙行いたしました。
  
 式では、学生の代表が小林淳一学長から学位記や修了証書を受け取りました。
 小林学長は、感染拡大によりキャンパスにも大きな影響が出た1年を振り返り、「これから皆さんが働く社会はSociety 5.0に代表されるように、IoTで全ての人とモノがつながり、
DX(Digital Transformation)により新たな革新が生み出されることで、より生産性と創造性の高い仕事が求められます。物事の本質を見極め、自ら課題を抽出・解決するセンスを磨いて欲しい。健康に留意され、それぞれの環境の中で成長し、社会で活躍して欲しい」と述べ、学生たちを激励しました。
    
 これに対し、生物資源科学部卒業生代表の千葉 優吏さんは、「納得いくまで実験を行い、疑問を解き明かす喜びを知り、そのときに感じた達成感は忘れることはありません。大学で経験したことを活かし、いかなる困難に対しても乗り越える努力をし、責任を持って社会に貢献できるよう努力を重ねていきます」、システム科学技術学部卒業生代表の遠藤 良洸さんは、「周りと切磋琢磨しながら課題や研究に取り組んでいくうちに、自分の考えに固執せず広い視野を持つことが大切だと気付きました。新たな環境では幾多の困難が待ち構えていると思いますが、大学で培ったたくさんの知識や多角的視点を駆使して乗り越えていきます」、と答辞のことばを述べました。

 また、式の終了後には、友人や後輩らと記念撮影をして、別れを惜しむ卒業生らの姿が見られました。皆様の新しい門出を心よりお祝いいたします。
 

★システム科学技術学部・システム科学技術研究科(由利本荘市文化交流館カダーレ)


   

★生物資源科学部・生物資源科学研究科(秋田キャンパス)

学長式辞全文

 システム科学技術学部、生物資源科学部の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。大学院システム科学技術研究科、生物資源科学研究科において、修士・博士の学位を得られた皆さんの修了を心からお祝い申し上げます。また、本日は新型コロナウィルス感染防止の観点からご出席頂けなかったご家族の皆様も含めまして、大学を代表して心からお喜びを申し上げます。

 新型コロナウィルス感染の影響で、今年度も昨年同様の卒業式となりました。本来であれば、本学の講堂でご来賓をお迎えし、盛大に卒業式・修了式を執り行い、ご家族の皆様とともにお祝いするはずでしたが、それがかなわず大変残念です。今年も感染防止のためにシステム科学技術学部、生物資源科学部それぞれ個別に式典を行うこととしました。

 さて、本日卒業ないし修了される皆さんは、これから社会人あるいは大学院生として、様々な分野で活躍されることになりますが、それぞれの心構えについて触れたいと思います。 まず、はじめにお伝えしたいことは、新型コロナウィルス感染によって私たちの暮らし、社会のシステムが大きく変わってきたことです。コロナ感染防止の観点から情報通信機器を使ってのリモートワークが多く取り入られています。皆さんがこれから働く職場でもリモートワークが行われると思います。当初は感染防止の観点から応急措置的な対応かと思われていましたが、既にオンラインでの仕事の利点が理解され、コロナが収束しても今後定常的に行われる有力な手段となってきました。ここで最も重要なことは、リモートワークで行われるオンラインミーティングでは、相手の話を理解すると共に自分が言いたいことを要領よくまとめ、手短に話ができるスキルが求められることです。ちょっとしたことですが、仕事の重要な基本になると思います。ミーティングでは相手の話を理解し、こちらの考えを正確に伝えることが基本です。学長特別講義でも話しましたが、相手の話を理解するためには、話している言葉だけではなく、どうしてそのような発言をするのか、その背後にある思いをくみ取ることが大切です。そして、自分の考えを述べる時は、一番いいたいことを先に言います。賛成か、反対か、あるいは自分の考えている提案、意見を述べます。そしてその理由をその後付け加えます。このようなコミュニケーションスキルは、意識して何度も訓練することで身につけることができます。また資料作成においても多くの情報を押し込むのではなく、必要なものだけをシンプルにまとめる工夫も大事になります。

  企業等に入社される皆さんは、今までとは全く違う環境に身を置くことになりますので、焦らずじっくりと新しい環境に慣れていくことが大事です。まずは、生活のリズムをしっかり作るように心がけてください。慣れるまで大変ですが、徐々に慣れてきます。会社は皆さんの態度に注目しています。そのポイントは二つあります。一つは、気持ちの切り替えがきちんとできているか、もう一つは、前向きな態度で仕事に取り組もうとしているかです。焦る必要はありません。分からないことは遠慮せず周りの人に聞いてください。皆さん親切に教えてくれるはずです。一つ一つできるようになったことに感動しながら少しずつ仕事を覚えてください。皆さんに是非心に留めておいて欲しい事を一つ述べておきます。それは様々な課題、問題があった場合、その解決に向け是非チャレンジしてほしいと言うことです。私は、行動の原点は「勇気を持つこと」だと思っています。勇気は、鍛えて獲得できるものではありません。心構えの問題です。その秘訣は物事を楽観的に捉え、「やってみなければ分からない。」と自分に言い聞かせ、まず第一歩を踏み出すことです。しかし、必ずしもうまくいくとは限りません。その場合は周りの人の力も借りてその対策を考え、少しでもうまく行くように修正し、次のステップに向かいます。そして、その繰り返しによって、今まで見えなかったものが見えるようになり、課題解決に向け前進できます。この経験、実感は皆さんの自信に繋がります。自信がつくと最初に行った第一歩を踏み出す勇気の意味が分かってきます。皆さんには是非この感覚をこれからの仕事の中で身につけてほしいと願っています。また、課題解決がうまく行えるようになるためには、専門的知識を増やし、課題解決に向けてのアイデアをたくさん持つ必要があります。これが皆さんを強くし、価値のある人間に成長させます。

  一方、大学院へ進学する皆さんは、これからより高度な研究を行うことになります。研究には当然未知な部分があり、高いハードルが隠れています。それをどう乗り越えるか、その方法論を学ぶことが最大の目的です。乗り越え方は様々ですが、原動力はその研究に魅力を感じていることです。新しい発見をしたい、現象のメカニズムを明らかにしたい等様々です。しかし、これもそう単純ではありません。研究対象がはっきりせず、どう研究テーマを切り出すか明確でないケースが殆どです。山を麓から眺めているだけでは、ルートは見つからないし、その険しさも分かりません。まずは、山の麓を歩きながら少しずつ登る道を探していかなければなりません。研究は、緻密な努力の積み重ねによって一歩ずつ前に進んでいきます。それに耐える体力、心構えを大学院で学んでほしいと期待しています。

 さて、これから皆さんが働く社会の変化についてお話ししておきたいと思います。Society 5.0と言う言葉を何度か耳にしたことがあると思います。Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のことと定義されています。つまり、Society 5.0で実現する社会では、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、DX(Digital Transformation)によって今までにない新たな革新が生み出されることで、仕事の仕方や内容が大きく変わることが予想されています。また、人工知能(AI)により、様々なビッグデータから必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術と組み合わせ、少子高齢化、地方の過疎化などの課題が克服される事も期待されています。皆さんにはこのような環境のもとで、与えられた仕事をこなすのではなく、自ら考え提案する創造性の高い仕事が求められます。本学で学んだ問題を発見し自ら解決できる能力と経験が役に立つはずです。創造性を高めるためには、現状の仕組みや行動において、何故と何度も問いかけ、その本質を見極め、そしてそこから新たな課題を抽出し、解決するための方法を見つけ出す手法を身に付ける事が必要です。従って、これから活躍される皆さんにとっては、この考え方がもっとも大事だということを心に留め、このセンスを磨いてほしいと切に願います。

 次に、学び直しについて一言述べておきます。技術はかつてない早さで進展していきますし、企業の戦略に基づきビジネス内容の変更や統廃合により、必要となる知識が変わって来ることも考えられます。その結果学び直しが必要となる機会が増えて来ると思われます。つまり、これからは常に技術や知識のアップデイトが必要となります。まず、そこをしっかり認識することが大事です。そして、より早く何をアップデイトすべきかその対応策を考えるべきです。大学は皆さんの要望に応えるために、学び直しの場を提供することが不可欠になります。コロナによって遠隔授業が日常的に取り入られてきています。この結果、社会人教育の形態、中身が変わっていくと考えます。本学においてもこの社会人教育が大きな特徴になるようカリキュラム体型を仕上げていくつもりです。本学では皆さんが必要な時にはいつでも本学教育サイトから勉強できる仕組みを構築していきますので、気軽に利用して下さい。私たちはいつでも皆さんをサポートします。 最後に、県外に出られる皆さんは、秋田の良さを周りの人たちに宣伝して頂くと共に、なるべく多くの機会を作ってまた秋田にお出でください。卒業、修了される皆さんが健康に留意され、それぞれの環境の中で成長し、活躍される事を祈念し、学長の告辞とします。

学長 小林 淳一