本学教員と大学院生が日本土壌肥料学会で受賞しました

 本学大学院・生物資源科学研究科 博士前期課程2年の井上 明香里さん(自然生態管理学研究室)が、7月19~20日、岩手県アイーナいわて県民情報交流センターで開催された、日本土壌肥料学会東北支部大会(2023年度)においてポスター賞を受賞しました。

 また、井上さんの指導教員である生物資源科学部 生物環境科学科早川 敦 准教授[専門:生物地球化学]が、9月13日、愛媛県県民文化会館で開催された日本土壌肥料学会2023年度愛媛大会において、「日本土壌肥料学会SSPN AWARD(欧文誌論文賞)」を受賞しました。
 

受賞した井上さんと早川准教授

 

日本土壌肥料学会SSPN AWARD(欧文誌論文賞)早川 敦 准教授

研究発表タイトル

Hayakawa, A., Shiraiwa, Y., Murakami, N., Murayama, Y., Ishida, T., Ishikawa, Y., Takahashi, T. (2021) Influence of surface geology on phosphorus export in coastal forested headwater catchments in Akita, Japan. Soil Science and Plant Nutrition, 67 (3), 332-346.
(日本語タイトル)表層地質が秋田沿岸森林源流域のリン流出におよぼす影響

研究概要

 表層地質はリンの流出の地理的パターンを制御する重要な要素ですが、自然の沿岸山地帯からのリン流出メカニズムに関する地理的に広範な情報は不足しています。私たちは、林源流域の河川水質特性を、異なるタイプの表層地質帯(海成堆積岩と火成岩)で比較し、河川水中のリン濃度を制御する要因を評価しました。その結果、秋田沿岸の河川水中のリン濃度は、火成岩集水域よりも海成堆積岩集水域で3倍も高いことを明らかにしました。さらに、NaCl型の水質と堆積物中の高い交換性Na+濃度が、河川水中の高いリン濃度を維持する上で重要である可能性を指摘しました。このように秋田沿岸の海成堆積岩地帯の集水域は河川への天然リンの供給源であり、Na+の影響を受けた淡水生態系のリン循環に大きな影響をもたらすと考えられました。本研究の成果は、海成堆積岩からなる八郎湖流域のリン循環の理解やリンの管理において重要な基礎情報になると考えられます。

受賞コメント

 本論文は、白岩康成さん、村山由樹さん、村上直樹さんの3名の卒業論文研究の集大成です。一つの論文としてまとめるのに時間がかかりましたが、私たちの研究成果がこうして学会で評価されて大変光栄に思います。これからも秋田県の身近なフィールドを材料にして、学生のみなさんと一緒にさらに研究を進展させて地域の課題解決にも貢献していきたいと思います。
 

日本土壌肥料学会東北支部大会ポスター賞 井上 明香里さん

☆発表タイトル

 『もみ殻くん炭から作成した非晶質ケイ酸カルシウム水和物による代かき濁水の凝集沈殿』
  井上明香里 早川 敦 金田 吉弘 石川 祐一 高橋 正

☆研究要旨

 秋田県八郎湖では富栄養化に伴うアオコの発生が顕在化しており、代掻き濁水等の湖水への流入負荷軽減が求められています。私たちはリン回収資材として知られる非晶質ケイ酸カルシウム水和物をもみ殻くん炭由来のケイ酸により作成(以降くん炭CSH)し、代掻き後の田面に施用することによるその凝集沈殿能(土の粒子を固めて沈める力)および水質を評価しました。

☆受賞コメント

 学部4年次から行ってきた研究を外部の方から評価していただき大変嬉しく思います。はじめは、くん炭からどうやって非晶質ケイ酸カルシウム水和物を作ればよいのだろうかと悩み、試行錯誤を重ねました。今後も、「くん炭CSH」について研究を進め、秋田県の環境に有用な資材、肥料開発ができるよう研究に邁進してまいります。
  

 日本土壌肥料学会は、世界的には、人口の爆発的増加や土壌の劣化による食糧の持続的生産に対する懸念、酸性降下物、地球温暖化などの環境問題についての関心が高まり、国内的にも、土・水・大気・植生・景域保全との調和を図りながら農業生産の一層の効率化を追及する環境保全型農業への期待が膨らんでいます。このような問題を解決し、21世紀における人間社会の安定的発展に貢献することを目的とした学会です。