【木材高度加工研究所】研究成果の記者発表会が開催されました

 本学木材高度加工研究所の栗本 康司 教授[専門:木材加工化学]と、国土交通省東北地方整備局能代河川国道事務所は、米代川で生じる支障木をオンサイトで製炭し、雑草抑制資材としての利用研究を共同で進めています。これまでの試験地での観察から、成長初期の雑草には、多量の木炭が生育抑制に効果があることが明らかになり、11月29日(水)、能代河川国道事務所で成果発表、および木炭の地中埋設に係る実証試験をメディア向けに公開しました。

 米代川下流の河川敷には、ヤナギやクルミなどの樹木が生い茂り、洪水時の河川の流れを妨げたり、河川管理、防災上の支障になったりすることから、能代河川国道事務所では、計画的に樹木を伐採し焼却処分しております。
 


米代川河川敷には樹木やアシ類が繁茂しています


樹木の伐採・搬出の様子


 栗本教授らは、このような現状を解消するため、昨年、15立方メートルの伐採木を200キロの木炭にすることで、約580キロ分の二酸化炭素を固定することに成功するなど、大気中の二酸化炭素を吸収した木を地中にとめ置く“地球温暖化対策”とも捉えて、実証研究を進めています。また、この木炭を地表から30センチの厚みで敷き詰め、表土で覆ったところ、雑草の成長速度が通常の約半分になり、発生密度も抑えることも確認されました。
 


支障木を製炭します


完成した炭


炭を埋設し土をかけて定点観測


雑草の生育抑制に一定の効果を確認


 今回の実証試験は、能代河川国道事務所敷地内に木炭を3段階(10cm、20cm、30cm)の厚みに分けて敷き詰め、木炭を敷かない場合と合わせて、木炭の量により雑草の発生・成長の度合いがどう変化するか観察、検証します。栗本教授らは、新たな仕組みづくりに向けて実験と研究を重ねていくことにしています。
 

木材高度加工研究所 栗本教授のコメント

 木炭にすることで貯留できる二酸化炭素の量は少量かもしれませんが、この取り組みが広がることで脱炭素への大きな成果につながると確信しています。また、雑草抑制の取り組みとは別に、秋田県農業の価値を高めるため、農地に木炭(バイオ炭と呼んでます)を施用して、環境保全型農産物の生産を進めたいです。色々と課題はありますが、実証研究を進めながらクリアーしていきたいと思ってます。 

能代国道維持出張所 澤畑尚也出張所長のコメント

 国道わきや分離帯の裸地は雑草が繁茂しており、木炭を活用することで、伐採木の焼却処分で大量排出している二酸化炭素を大きく減らせる上、国道の除草作業の手間と作業コストの削減にも繋がります。今後の展開に期待しています。
 


共同研究の概要を解説する栗本教授


実証試験は能代河川国道事務所の敷地内で実施


今回は200kgの木炭を敷き詰めた


敷き詰めた後は全体を表土で覆います