建築構造学グループの論文が国際学術誌「Nuclear Engineering and Design」に掲載されました
櫻井 真人 准教授(建築構造学グループ[専門分野:耐震構造,RC構造])らの研究グループによる東北地方太平洋沖地震による宮城県女川発電所建屋の安全性を検証した論文「Initial stiffness degradation and its effect on seismic capacity of shear wall with high reinforcement volume: An experimental study」が、国際学術誌「Nuclear Engineering and Design」に掲載されました。
著者:Naoyuki Aizawa, Yui Nemoto, Yoshihiro Ogata, Kiyoshi Hirotani, Masato Sakurai, Hamood Alwashali, Masaki Maeda, Osamu Sugawara
DOI:10.1016/j.nucengdes.2023.112496.
掲載ページ: https://doi.org/10.1016/j.nucengdes.2023.112496
Available online: 2 August 2023
研究概要
3.11東北地方太平洋沖地震で被災した宮城県女川発電所建屋の観測記録の分析から,発電所建屋は地震時にほぼ損傷のないと判断される弾性域内の変形に留まっていたことが明らかになりました。しかしながら同時に建屋の振動特性(剛性)が設計値に対してわずかな変化していることも判明しました。本研究グループではこの理由が建屋竣工から3.11の地震発生まで期間に生じたあらゆる地震ならびに建屋に使われるコンクリートに乾燥収縮といわれる作用によって引き起こされたひび割れが原因であることを突き止めるとともに,大規模構造実験を通じてこれらのわずかな損傷や特性の変化は建屋の当初設計耐力に大きな影響を及ぼさないことを明らかにしたものです。
大地震を経験した原子力発電所建屋を対象とした研究成果は世界的に見ても大変貴重であり有益なデータであるといえます。また,これらによって今後再稼働予定の発電所建屋の構造安全性を改めて証明することができました。
ここに至るまでに得られたデータは数年にわたる長期計測と構造実験に関わってくれた多くの学生の努力の賜物です。この場を借りて彼らに厚くお礼を申し上げます。