本学教員と企業との共同研究成果が「Journal of Robotics and Mechatronics誌」の”The Best Paper Award 2022”を受賞しました
-知能メカトロニクス学科-
本学システム科学技術学部知能メカトロニクス学科の齋藤 敬 教授とKYB-YS株式会社(長野県)の共同研究成果として「Journal of Robotics and Mechatronics誌」で発表した下記の論文が、同誌における”The Best Paper Award 2022”を受賞しました。この賞は、ロボティクス・メカトロニクス分野の研究を奨励し、発展に寄与することを目的として、前年の同誌に掲載された論文(2021年は全123編)の中からEditorial Boardによる厳正な審査を経て選定された、最も優秀な論文1編に贈賞されるものです。
2022年12月23日に学士会館(東京都)において授賞式が行われ、齋藤 敬 教授とKYB-YS社の齊藤 靖 部長が出席し、研究のいきさつや今後の発展についてスピーチを行いました。
【受賞論文】
“300-N Class Convex-Based Telescopic Manipulator and Trial for 3-DOF Parallel Mechanism Robot”
Takashi Kei Saito, Kento Onodera, Riku Seino, Takashi Okawa, and Yasushi Saito
Journal of Robotics and Mechatronics, Vol.33 No.1, pp. 141-150, 2021.
【研究概要】
伸縮する機構はさまざまに開発されていますが、伸縮比が2:1以下に留まる、あるいは構造が弱い等の問題がありました。これに対し、私たちは金属巻尺のようなコンベックステープを束ねた新しい伸縮機構を開発してきました。これは既存の機構に比較すると伸縮比が極めて大きく、軽量かつコンパクトに畳めることに加え、過負荷に対して曲がっても、伸ばし直せば復旧するという特徴を持ちます。
このようなテープ伸縮機構は出力が低く動作が不安定でありましたが、今回、本研究において「巻尺腕Type-K」として、300 N級の出力を持つ新たなテープ伸縮機構を開発し、更に3軸パラレルリンクロボットとしての応用を試験しました。
【受賞した齋藤 敬 教授のコメント】
元々化学でバイオな研究からスタートした私が、後から学んだメカトロニクス分野でこのような賞を頂けたのは大変光栄に思います。この受賞が、私と同じような異分野融合型の研究者の励みになれば幸いです。
この伸縮機構もそうですが、私の研究ではとにかく新規性と発展性を重視して、見過ごされがちなローテク主体の地道な研究を進めてきました。同じようなことをやっている人が少ない分、毎年の学生の研究貢献は非常に大きく、学生も発明者に含まれる複数の特許をKYB-YS社と共同出願済みです。この伸縮機構は福祉機器や雪下ろしにも応用できる、伸びしろの大きい技術です。今回の受賞を励みに、研究成果の実用化に向けて一層努力してまいります。
※左から、KYB-YS齊藤 靖 部長、本学齋藤 敬 教授、同誌編集委員長大須賀 公一 教授(大阪大学)