本学大学院生が「学生・若手優秀賞(口頭発表賞)」を受賞しました

 令和4年9月14日~16日に大阪公立大学で開催された第63回大気環境学会年会において、本学大学院生の加藤 累 さん(総合システム工学専攻 経営工学コース)が「学生・若手優秀賞(口頭発表賞)」を受賞しました。

 大気環境学会は、1959年に創立され、会員数は700人以上と国内の環境分野では、最も長い歴史を持つ学術団体の一つとして国内外から高く評価されています。日本の大気汚染の改善に関する多大な業績を挙げている学会です。今回の学生・若手優秀賞は、学生・若手研究者の区別はなく、口頭発表者32件の中から4件、ポスター発表者101件の中から4件の合計8件の受賞の中の一つに選ばれました。 

★受賞した加藤 累 さんのコメント

 受賞タイトルは、「コロナ禍におけるバングラデシュ・ダッカのPM2.5中のアンモニウムイオンの発生源の変化(加藤累, 川島洋人, JOY Khaled Shaifullah, FARAH Jeba, SALAM Abdus )」です。私達の研究では、世界で最もPM2.5が高いバングラデシュ・ダッカにて、PM2.5に含まれるアンモニウムイオンの窒素安定同位体比を用いることでアンモニウムイオンの起源推定を行っています。特に、ここ数年のコロナによるロックダウンなどの影響によって、どのように大気質が変化していっているのかも調査しています。結果は、コロナ前である2019年と比較し、コロナによるPM2.5に対する長期的な影響はあまり見られませんが、アンモニウムイオンの起源は自動車排ガスなどの人為的な影響である非農業由来の発生源が若干減少する結果になりました。これは、コロナによって人為的な活動が下がっているものの、PM2.5自体には大きな影響はないというようなことが分かりました。

 PM2.5中に含まれるアンモニウムイオンの窒素安定同位体比による発生源解析は、主に中国、米国で行われており、それ以外の国ではほとんど実施されていません。また、今回はコロナ禍の長期サンプルということで、他の論文でもなかなかない結果を報告できるということで、今回大気環境学会にて口頭発表をしましたが、興味を持って聞いて頂けたようでホッとしました。また、現在、国際学術論文誌に報告するために、論文を執筆中なので、このような機会で様々な質問や意見をいただくことができ、より一層解析が深まったと考えています。

 今回の学生・若手優秀賞は、私達の研究室では4回目となります。まさか自分がこのような賞を頂けると思っていなかったため、受賞に関するメールが届いた際、本当に驚きました。川島先生もびっくりしており、驚きと喜びを分かち合いました。今回の賞を通じて、私たちを陰ながら応援してくださっている方の存在を感じることができました。同時に先輩方に引き続きこのような賞を頂き、光栄に思います。口頭発表中は、自分の中で一番伝えたいことは何か、会場にいる人たちは何を求めているかを考えながら発表しました。大勢の大気環境系の研究者の方が聞いてくださり、質問やコメントを頂きました。今回頂いた質問やご指摘と真摯に向き合って、現在執筆中の論文がより良いものになるようにしっかり反映させたいと思います。

 学会の間は、川島先生の先輩方と昼・夕食を共にさせてもらいました。研究所や大学の人達の研究に対する思いを聞かせて頂いたり、研究の相談にも乗って頂きました。最初は、研究の話などうまく話せるか不安で緊張していましたが、自分よりもずっと上の先輩方が自分に興味を持って研究の話を聞いてくださったことがすごくうれしく、とても有意義な時間となりました。今回の学会発表を経て、より一層研究に対するモチベーションが上がりました。また、帰りには大阪市にある適塾(緒方洪庵の塾)にも寄り、非常に有意義な学会となりました。適塾の志やソウルをこの身に宿して研究により一層励んでいきたいと思います。

 最後になりましたが、指導してくださっている川島洋人先生、日頃から一緒に研究に取り組み、議論をしてくれている研究室の皆さん、研究補助をしてくださっている藤嶋楽さん、そして、今回サンプリングをしてくださった共同研究先であるダッカ大学の皆様に深く感謝いたします。
 


ギリギリまで発表の準備・・・


発表の様子


竹中 規訓年会長から賞状の授与

記念撮影