【男鹿市・雲昌寺】教員研究成果の記者発表会が開催されました

 生物資源科学部生物生産科学科の戸田 武 准教授[専門:植物病理学]は、男鹿市の雲昌寺のアジサイで発症した病害を特定すると共に、農薬を使用することなく病害の発生を抑制する手法を発見し、9月21日(金)、雲昌寺で研究の成果発表会が開催されました。

 雲昌寺の境内には2千株ものアジサイが栽培され、「アジサイ寺」として県内有数の観光スポットとなっています。しかし、2017年ごろから、アジサイの葉に黒い斑点が大量に発生し、翌年以降も同様の症状が拡大し、着花数も年々減少していることが明らかになりました。

 雲昌寺の古仲 宗雲 副住職 から相談を受けた戸田准教授は、当該症状を示した葉から分離・培養した菌類はColletotrichum acutatumであり、病害は炭疽病(たんそびょう)であることを明らかにしました。炭疽病は、草花や野菜などに発生するカビが原因の病気で、胞子が土から出てきて、周りの植物に伝染すると言われています。

 炭疽病対策として、農薬を散布することで病気の発生を抑える一方、人体への危険性や耐性菌の出現も考慮し、ライトアップ業者である合同会社ピボット(高橋 剛 代表)に協力いただき、ハウス栽培のイチゴなどで防除効果が確認されていた「紫外光(UV-B)」を照射し、その効果の検証を繰り返しました。その結果、2021年の実験では、「紫外光(UV-B)」が半径0.5 mまでの範囲で炭疽病を抑制、検証手法を改良した2022年には、「紫外光(UV-B)」が半径1 m以上で抑制する効果が認められ、いずれも斑点数は激減し、農薬を使わずに病気を抑制できる手法を発見しました。

 戸田准教授は今後、効果的なライトの高さや設置間隔、照射時期などについての検証を継続し、他の作物についても実用化を視野に入れながら、鋭意研究を進めることにしております。

☆戸田准教授のコメント
 農薬をできるだけ避ける防除方法を定着させて、地域の観光地を守り続けたい。さらに、アジサイのほかにも、まずは一つの作物で、光を利用した病害対策を実用化させていきたい。

☆古仲副住職のコメント
 農薬は、人が来るところでは、撒くことに抵抗があり、光で防除してもらえることは画期的。今回の取り組みにより、7割ほどアジサイの状態が改善しているという感覚があり、大変ありがたい。たくさんの人に気持ちよくお参りしていただけるよう、より良い環境を整えていきたい。
 

記者会見の様子(公式You Tubeにリンク)

生物資源科学部 生物生産科学科 准教授 戸田 武(中央)
男鹿市北浦・雲昌寺 副住職 古仲 宗雲 さん(右)
合同会社ピボット 代表 高橋 剛さん(左)    

 


記者会見の様子


研究成果について説明する戸田准教授


斑点数を地道にカウント


学生を指導する戸田准教授(本学圃場)


紫外光(UV-B)を設置


アジサイの葉に大量に発生した炭疽病


 本研究成果には、令和3年度学生自主研究における成果も含まれています。
 
雲昌寺のアジサイ救え 炭疽病、弱い紫外光で発生抑制(秋田魁新報電子版)
☆雲昌寺のアジサイ…紫外光で防除 薬使わず病害から守る(AKT秋田放送)
☆紫外線のライト“アジサイの病気の広がり抑える効果(ABS秋田放送)
☆男鹿・雲昌寺のアジサイ、紫外光が守る 薬剤使わず炭疽病を抑制(河北新報ONLINE NEWS)

その他、多数のメディアに取材いただきました。