本学研究グループの論文が国際学術専門誌「PeerJ」に掲載されました

 このたび、本学生物資源科学部生物環境科学科の坂田ゆず助教(森林科学研究室)と岡野邦宏准教授(生態工学研究室)らの研究グループの研究成果が、生命科学・環境科学分野の国際学術専門誌「PeerJ」に掲載されました。

★プレスリリース資料
 「シカの定着年数によって、森林におけるシカの食性と植物の脆弱性が異なる(令和3年9月17日) 」 
 
★掲載論文
 著者: Yuzu Sakata, Nami Shirahama, Ayaka Uechi, Kunihiro Okano
 表題:Variability in deer diet and plant vulnerability to browsing among forests with different establishment years of sika deer
 雑誌:PeerJ
 論文掲載ページ DOI 10.7717/peerj.12165 Publication date: Friday 17 September

 

★発表のポイント
・シカの定着年数が異なる北東北の森林において、森林の下層植生、シカの食痕及びシカの食性をそれぞれ評価した。
・シカが20年以上定着している森林においてのみ、それ以外の森林に比べて植物種数や植生の被度の低下が見られた。
・シカの食性は、シカが定着して数年しか経過していない森林と10年以上経過している森林との間においても異なっていた。
・98種の植物について、シカの採食に対する脆弱性の異なる6つのグループに分類しました。植物の生活史や生育型が指標になるとは限らず、種ごとに評価する重要性が示された。

★坂田ゆず助教のコメント
本研究から、シカが定着してから短期間で餌とする植物を変化させている可能性があることが分かりました。特に定着初期からシカに好んで食べられ、脆弱な植物種があることも見えてきました。こうした植物の脆弱性は地域によっても異なると考えられるため、今後は、シカの個体数管理とともに地域レベルでの植生やシカの餌選択の変化に関する継続的な知見が、北東北に限らず各地の森林において蓄積されることが望まれます。