本学大学院生が日本植物病理学会で学生優秀発表賞を受賞しました

 3月17日から19日にかけてオンラインにより開催された、令和3年度日本植物病理学会大会において、大学院・生物資源科学研究科の伊賀 優実さん(博士後期課程2年)が「学生優秀発表賞」を受賞しました。

★発表タイトル
 「弱酸性次亜塩素酸水の水稲種子伝染性病害に対する効果」
 伊賀優実・渡邊唯衣(令和2年度生物資源科学部卒業生)・佐藤友子(株式会社ローカルパワー)
 寺田耕也(株式会社ローカルパワー)・藤 晋一(生物資源科学部教授)

★伊賀さんの受賞コメント
 この度、日本植物病理学会において学生優秀発表賞を頂き大変うれしく思います。このような賞を頂けたのも日ごろからご指導いただいている藤先生をはじめ、研究室の皆様、共同研究者の皆様のおかげです。この場を借りて感謝申し上げます。この受賞を励みにより一層精進し、イネの病害防除に関する研究を進めて自分自身の知識や技術の向上の努めていきたいと思います。

★研究要旨
 水稲の病害を未然に防ぐために化学合成農薬による種子消毒が広く行われています。しかしながら、有機・減農薬栽培の推進、使用後の廃液処理の問題から温湯消毒や微生物農薬などの方法が開発・普及されましたが、これらの技術の効果は化学合成農薬よりも劣り、農家ではばか苗病が多発し問題となりました。そこで今回消毒剤として用いたのが次亜塩素酸水です。次亜塩素酸水を用いた防除試験はイチゴやキュウリ、イネなど多くの作物に対して行われてきました。しかしながら、従来の次亜塩素酸水は有機物や微生物に接触することで原水に戻ってしまうことや専用の機器の購入が必要なことから実用上に大きな壁がありました。今回用いた弱酸性次亜塩素酸水は有効成分をすぐに失わないという特徴があります。医療分野ではすでに防菌剤として使用されていますが農業分野では試験事例がないため、防除効果の有無を検証しました。その結果、ばか苗病、いもち病、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病、褐条病に効果があることがわかりました。現在弱酸性次亜塩素酸水が農家で使用が可能かを調べるため農家規模で試験を行っています。