【プレスリリース】過去の減肥栽培試験結果を用いた大規模データ分析によって、みどりの食料システム戦略における化学肥料削減目標の実現可能性を窒素肥料に着目して評価
生物資源科学部 生物環境科学科の早川 敦 教授[専門:生物地球化学]らの共同研究チームは、国内の研究圃場における減肥栽培試験の大規模データ分析に基づき、日本の農地での作物収量に影響を与えない化学窒素肥料(SNF)“削減率”について着目して評価しました。本分析では、研究圃場においては適切な肥培管理を行えば、SNFを30%削減しても平均的には収量に大きな影響が出ない削減率であることが示されました。この結果は、農業は非常に多様であるため、作物や地域、気候に応じた肥培管理を模索する必要があるものの、農林水産省が推進する「みどりの食料システム戦略」の最終目標である「化学肥料の使用量30%削減」のうちSNFについて、取り組みが着実に進めば、大きく収量を損なうことなく達成できる可能性を示しています。さらに、SNFを30%削減することによる日本の農地における廃棄窒素量(環境中への窒素の排出)の削減効果は8.8%であること、また、削減効果は農地の肥培管理手法の選択に大きく依存することを示しました。
本研究の成果は、2024年11月30日付でElsevier社から刊行される環境学分野の学術誌『Journal of Environmental Management』に掲載されました。
プレスリリース資料
「過去の減肥栽培試験結果を⽤いた⼤規模データ分析によって、みどりの⾷料システム戦略における化学肥料削減⽬標の実現可能性を窒素肥料に着⽬して評価―廃棄窒素削減にむけた最適窒素管理に資する知⾒― (令和7年2月13日付け)」論文情報
〇タイトルFeasibility Assessment of Japan's Fertilizer Reduction Target: A Meta-Analysis and its Implications for Nitrogen Waste
〇著者
Kazuya Nishina; Kentaro Hayashi; Azusa Oita; Kei Asada; Atsushi Hayakawa; Tomohiro Okadera; Takashi Onodera; Tatsuya Hanaoka; Kazuaki Tsuchiya; Koya Kobayashi; Nobuhisa Koga
〇掲載誌 Journal of Environmental Management
〇URL httpsURLhttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0301479724033486
〇DOI 10.1016/j.jenvman.2024.123362