本学大学院生が「日本生態学会」及び「森林・林業技術交流発表会」で受賞しました!!

 大学院・生物資源科学研究科 博士前期課程の 小川 りさ さん(生物環境科学科森林科学研究室)が、「令和5年度森林・林業技術交流発表会」で奨励賞、「第71回日本生態学会大会」でポスター賞優秀賞を受賞しました。おめでとうございます!! 
 

研究発表タイトル

〇森林・林業技術交流発表会
「クマイザサ小面積開花枯死後の非開花ラメットの侵入による群落回復パターン」
 小川りさ、坂田ゆず(生物資源科学部助教、現在、横浜国立大学助教)、蒔田明史(本学副学長・特別研究員)
〇第71回日本生態学会大会
「クマイザサ小面積開花後11年間の実生個体群の動態」
 小川りさ、大倉知夏(本学卒業生)、井上みずき(日本大学理学部准教授)、工藤恵梨(本学卒業生)、松下通也(森林総合研究所・林木育種センター)、坂田ゆず、木村恵(生物資源科学部准教授)、蒔田明史

研究概要

 ササは日本の代表的な林床植物であり、 百年以上にわたる栄養成長の後、一斉開花・枯死することが知られています。その一方で、一斉開花の周期からずれて、ササ群落の一部分が開花・枯死するような小面積開花が度々起こっています。 一斉開花は多くの人の注目を集め、その後の更新について研究事例が蓄積しつつありますが、小面積開花後の更新過程に関する知見は限定的です。2011年に秋田市の落葉広葉樹林内でクマイザサが小面積開花した際には、翌年にササの実生(芽生え)が発生しました。実生の生死や成長を11年間追跡したところ、一部は現在も生存していましたが、先行研究の一斉開花後の実生に比べて成長が遅いことがわかりました。さらに、ササが開花・枯死したところは周囲の非開花のササによって占有されつつあることがわかりました。非開花のササによって実生が被陰される可能性が高いと考えられますが、今後も残存実生の生残、成長を長期的に観察することが必要です。

受賞コメント

 このような素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。 この研究は、秋田市の小面積開花地を発見し、その後の実生更新の可能性を見出した共同著者の方々から始まったものです。さらに、秋田県立大学森林科学研究室の卒業生の方々が、毎年、データを蓄積してくださったからこそ実生の成長を追跡することができました。 自分の疑問に寄り添って指導して下さる先生方や、日ごろから支えてくださっている森林科学研究室の皆様、また研究の議論をしてくださる多くの方々のお力添えがあってのことと感じています。ササは身近な植物ですが、その生態は未だ不思議に包まれています。今後もササの興味深さを追求し、その生態を多くの人に伝えていけるよう日々精進していきます。
 

研究の原点は学生自主研究(学部2年次)

後輩からも頼れる先輩!!

公式X(旧Twitter)

ササの一斉開花を現地調査しました(令和5年8月、北海道)