本学教員が参画するもみ殻バイオマス地域熱供給事業がスタート
大潟キャンパス/アグリイノベーション教育研究センターがある秋田県大潟村では、「自然エネルギー100%の村づくり」に取り組んでおり、その一環として、米の収穫に伴って大量に発生する「もみ殻」を燃料にした、バイオマスボイラーによる地域熱供給事業を進めております。本構想には生物資源科学部生物生産科学科の頼 泰樹 准教授[専門:土壌学]が技術アドバイザーとして参画するほか、生物資源科学研究科・博士前期1年の今熊 木乃美さん[植物栄養研究室]も、もみ殻を効率よく燃焼させるための研究に取り組んでおり、本構想の推進に大きく貢献しています。
7月17日(水)、かねてより建設を進めていたバイオマス熱を地域に供給するプラントが完成し、竣工式および施設見学会が開催されました。本施設は既に村内5施設への熱供給を試験的に開始しており、今秋にも商用運転開始を見据えています。
大潟村の基幹産業である稲作において、これまで多くが未利用の資源であった「もみ殻」(大潟村内では年間約1万4千トン発生。その半分の7千トンが未利用)を活用して熱供給を行います。これまで各施設の暖房・給湯等に使用していた化石燃料から、「もみ殻」に代替することで地域の脱炭素化を図るとともに、燃焼後の「もみ殻燻炭(くんたん)」を農業に利用することで資源循環の仕組みを構築します。
頼准教授は、「もみ殻は放っておいたらごみになるが、常に乾燥しており燃料として最適」、「もみ殻の焼却で生じる燻炭は、土壌改良剤として育苗の床土へ混合するなど農地へ還元することができる。炭素の形で戻すため100年たっても6~7割は土壌に残る。」と解説するとともに、「これほど大規模なもみ殻を燃料とするバイオマス地域熱供給システムは全国初の試み。日本の地域熱供給事業のさきがけになってほしい」と期待を寄せています。
本事業の技術アドバイザーを務めた頼 泰樹 准教授
自然エネルギー先進国のデンマークの技術を取り入れた
生物資源科学研究科1年 今熊 木乃美さん
もみ殻を効率よく燃焼させるための研究に取り組む
公式YouTube 国内初挑戦!!もみ殻バイオマス地域熱供給ボイラー棟が竣工|秋田県立大学&大潟村
バイオマス地域熱供給システム
カントリーエレベーター(コメの乾燥や貯蔵をする倉庫)からでたもみ殻は一度ハウスに蓄えられ、パイプを通ってボイラーに運ばれます。もみ殻を燃料にボイラーで湯を沸かして85度から90度の熱水を作り、貯湯タンクに貯めることで熱を蓄えます。その後、村内を南北に約3.5km縦断する熱導管を通って、小中学校や温泉施設など5つの公共施設に熱水で熱を供給します。各施設は熱交換器を通して、湯から熱を受け取り、給湯や暖房に使用します。湯はボイラーに戻して再び加熱し、施設と循環します。
もみ殻バイオマスボイラー
出力350キロワットのボイラー2基で湯を沸かす
もみ殻倉庫
カントリーエレベーターとパイプで繋がっています
もみ殻を燃やして熱水を作り貯湯タンクに貯めます
燃焼後のもみ殻を燻炭として再利用
村内を南北に約3.5km埋設された熱導管