本学大学院生が微生物生態学会で優秀ポスター賞を受賞しました

授賞した大隅 優太朗さん


 この度、「日本微生物生態学会第38回東京大会」 において、大学院生物資源科学研究科2年生の大隅 優太朗さん(生物環境科学科生態工学研究室、指導教員:宮田 直幸 教授)が、マンガン酸化細菌を活用した鉱山廃水の処理技術の開発に関する研究成果を発表し、優秀ポスター賞を受賞しました。

研究発表タイトル・発表者

「マンガン含有坑廃水の生物処理で優占化する未培養Gammaproteobacteria綱細菌の電気培養とその増殖特性」
 発表者:大隅優太朗、渡邊美穂、岡野邦宏、宮田直幸(秋田県立大学)
     片山泰樹、風呂田郷史、保高徹生(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

研究概要 

 日本全国に散在する休廃止鉱山から流出する坑廃水は、有害な重金属を含有し、中和処理によって処理されています。しかし、高コスト・高エネルギー消費であることから自然の浄化機能を生かした処理技術への転換が求められています。当研究室グループでは、有機物無添加条件でマンガン(Mn)除去が進行するパイロットスケールの生物処理プラントを構築し、溶存Mnの安定した除去を達成しました。また、処理槽内では未知の独立栄養性Mn酸化細菌(OS1)が処理に関与していることが推察されました。本研究では、このOS1細菌を分離培養することを最終目的とし、電気培養手法により集積培養系を確立することに成功し、その増殖特性を評価しました。

宮田教授のコメント 

 当研究室では、外部の研究機関と連携しながら、マンガン酸化細菌を活用した鉱山廃水の処理技術の開発に取り組んでいます。大隅君は修士課程1年次から、共同研究先である産業技術総合研究所のリサーチアシスタントに採用いただき、本学と産総研を行き来しながら、着実に研究を積み重ねてきました。鉱山現場でしか確認できなかった、処理の鍵を握る未知の細菌群をラボで培養できるようになったことは、大きな成果です。こうした努力が今回の発表賞受賞につながったのだと思います。修士課程の残りの期間でも、この未知の細菌群の特性をさらに明らかにし、研究の新しい可能性を広げてくれることを期待しています。

大隅さんのコメント 

 この度は、日本微生物生態学会第38回東京大会におきまして、優秀ポスター賞を賜りまして大変光栄に思います。指導教員の宮田直幸教授をはじめ、研究活動にご協力いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。今回は、微生物生態学会において研究成果をポスター発表させていただきました。学会での発表は今回で3度目であり、自身の研究のおもしろさや成果を存分にアピールできたと感じています。各分野の専門家の方々から多くのアドバイスや激励のお言葉をいただき、その後の研究活動のモチベーションにも繋がっています。残り少ない修士研究ですが、私の研究成果およびその先の後輩たちの研究活動が鉱山排水の課題解決に繋がるよう最後まで尽力したいと思います。
 

生態工学研究室[左]渡邊 美穂 助教 [右]橋本 梨香子さん マンガンチーム!