名古屋国際蘭会議で優秀賞を受賞しました
名古屋国際蘭会議で優秀賞を受賞しました
先々月の3月14日に、名古屋国際蘭会議(NIOC)において、「NIOC賞」を受賞しました。
「名古屋国際蘭会議」は、フラワードーム2007において「あいち花フェスタ」と共同開催されている「名古屋国際蘭展」の会議部門です。様々なランの学術研究をポスターの発表の形式で募集し、その後の審査において優秀賞(NIOC賞)1点と、奨励賞2点が選出されます。
今回はこの優秀賞(NIOC賞)に、川上清久・藤晋一・三吉一光の『御蔵島のニオイエビネ集団におけるウイルスの発生状況と栽培環境下におけるウイルス濃度の変動』が選ばれ、40分の記念講演を行ないました。
この研究では、絶滅危惧種であるニオイエビネの自生株から、キュウリモザイクウイルス(CMV)が検出されました。さらに、栽培することでウイルス濃度が変化することも、明らかになりました。
この結果から、ニオイエビネの自生株にCMVが蔓延している可能性が示唆され、環境の変化よってウイルス濃度が変化することも分かり、自生地の保全に関し新しい知見を得ることが出来ました。
ニオイエビネの自生地は伊豆諸島の御蔵島に限られるので、新幹線やフェリーを乗り継いで御蔵島まで調査に行きました。帰りには波が高く御蔵島にフェリーが接岸できず、生まれて初めてヘリコプターで移動し、噴火の後が生々しい三宅島まで移動し、そこからフェリーに乗るなど貴重な体験が出来ました。また、ラン科植物の自生地におけるウイルスの研究はほとんど行われておらず、様々な仮説を立てながら検証を行い、非常に勉強になりました。
今回の発表の際にはランの研究者の方々から多くの激励を頂き、そしてNIOC賞を受賞し研究が評価されたことで、大きな励みになりました。ラン科植物ではウイルス病が非常に大きな問題になっているので、今後も研究を続け社会に貢献したいと思います。
作物生態学講座
博士課程後期3年
川上清久
●川上さんに質問してみました!
≪質問1≫
この研究はどのようなところで世の中に役立つと思いますか?
≪回答1≫
エビネはウイルス病に感染し易いと言われていましたが、自生地から採取してきた場合には既にウイルスに感染している場合があることが分かりました。また、自生地においてウイルスが感染しているという今回の結果は、自生地における植物の保護活動を行うにおいて重要な知見をもたらしました。
今後はさらに多くの地域において調査を行い、ラン科植物における自生地のウイルスの実態に関して、調査を進める必要があります。
≪質問2≫
研究の楽しさ、やりがいとは?
≪回答2≫
今まで行われていない研究を行うことは、新しい発見が多く、やりがいがあります。
また、調査などで野生のランを見つけると、やっぱりうれしいですね。