【プレスリリース】生物資源科学部の木村憲一郎教授が桐材輸入の実態を解明!過度な海外依存とコスト高騰に警鐘

 生物資源科学部生物環境科学科の木村憲一郎教授(専門:森林経済学)の研究成果が、学術誌『日本森林学会誌』に掲載されました。本研究は、過去約40年分の貿易データを詳細かつ網羅的に分析し、これまで長年未解明であった桐材の輸入実態(調達国・形状・価格動向など)を日本で初めて明らかにしたものです。

ポイント

  • 40年間の実態不明を解明:桐材が「どこから・どんな形で・いくらで」届いているのか、体系的なデータとして可視化しました。
  • サプライチェーンの偏在とリスクを浮き彫りに:「原木はアメリカ」「加工材は中国」という特定2カ国への著しい集中と、地政学・経済リスクを可視化しました。
  • 「輸入=安い」という固定観念の打破:近年の円安や海外の物価・輸送高により、「海外産=国産より安い」という従来の前提が崩れつつあることを証明しました。
  • 国産桐の再評価と地域林業への提言:伝統文化を守るだけでなく、国内の森林資源を活用した地域経済および生産システムの再生に向けた実践的な示唆を提示しました。

研究の背景と意義

 桐製品は日本の伝統的な生活文化を支えてきましたが、原料となる桐材の輸入実態は客観的なデータとして十分把握されていませんでした。
「現場で役立つ森林政策」を目指す木村教授が約40年間のデータを分析した結果、現在の調達構造が抱える深刻なリスクが浮き彫りになりました。特定国への過度な依存は、供給国の輸出政策や急激な為替変動などが起きた際に、国内産業が大きな打撃を受ける懸念があります。また、輸入コストの上昇により、国産材へシフトする経済的合理性が高まっています。本研究は、桐箪笥や伝統工芸などの日本文化を継承するにとどまらず、放置されがちな国内の森林資源を活かし、国内林業と地域経済を再生させるための架け橋となる重要な根拠を示しています。

今後の展望

 過度な海外依存からの脱却を目指し、輸入先の分散にとどまらず、国産桐の再評価および国内加工体制の再構築が急務とされています。なお、本研究を踏まえ、「国産桐の可能性と未来」に焦点を当てた続報論文も別途学術誌に掲載される予定です。

研究の内容成果掲載誌

 本研究成果は、『日本森林学会誌』に、令和8年9月20日に掲載されました。
  • 論文タイトル:『桐材輸入の変遷と現状』
  • 著者名:木村 憲一郎(秋田県立大学 生物資源科学部 生物環境科学科 教授)
  • DOI:https://doi.org/10.4005/jjfs.108.219

助成事業

 本研究の一部は、公益社団法人国土緑化推進機構「緑と水の森林ファンド(7公B-6)」の支援を受けて実施されました。

プレスリリース資料

 桐材輸入の実態を解明!過度な海外依存とコスト高騰に警鐘