本学大学院生が「アイソトープ・放射線研究会発表会」でポスター賞を受賞しました

 この度、「第63回アイソトープ・放射線研究発表会」において、大学院生物資源科学研究科1年の堀内 歩さん(生物環境科学科/土壌環境学研究室、指導教員:田中 草太 助教)が「ポスター賞」を受賞しました。 堀内さんは、地表徘徊性昆虫を調査することで森林生態系における137Cs(セシウム137)の動態を明らかにする研究成果を発表し、その優れた内容が高く評価されました。本賞は、アイソトープ・放射線分野における優れた研究発表を行った若手研究者や学生を奨励・表彰するものです。

研究発表タイトル・発表者

『地表徘徊性昆虫類の137Cs濃度と炭素・窒素安定同位体比』
 堀内歩、加茂楓葵、高階史章、佐藤孝、田中草太 (秋田県立大学・生物資源科学部)

研究概要 

 環境中で問題となる放射性セシウム(RCs)は、生物の必須元素であるカリウムと同族元素であるため、植物に吸収され、食物連鎖を介して環境中を移動・循環します。森林生態系では、落葉などの死んだ生物を起源とする腐食連鎖がRCsの生物移行に寄与しており、地表徘徊性昆虫類は、汚染が蓄積している森林林床部の腐食連鎖に依存しています。これら地表徘徊性昆虫類(カマドウマ科)は、渓流魚の餌資源の約6割を占めているため、森林生態系から河川生態系へのRCs移行源として機能している可能性があります。しかし、原発事故後に地表徘徊性昆虫類に着目した研究は、ほとんどないのが現状でした。そこで本研究は、福島県の放射能汚染地域において地表徘徊性昆虫類を採集し、RCs濃度と炭素・窒素安定同位体比を定量することで、食物連鎖を介したRCsの移行を評価しました。その結果、地表徘徊性昆虫類では栄養段階の上昇に伴って、RCs濃度が低くなることが示されました。一方で、カマドウマ科では、餌資源よりRCs濃度が高くなる個体も一部で存在することが明らかになりました。

堀内さんのコメント 

 この度は、「第63回アイソトープ・放射線研究発表会」において、ポスター賞をいただきまして大変光栄に思います。このような成果が得られたのは、指導教員をはじめ、周囲の協力があってのことです。深く御礼申し上げます。私は自主研究を通じて、学部1年から地表徘徊性昆虫の研究に取り組んでおり、そこで得られた知識や経験が今回のポスター賞に繋がったと思っています。発表の際には「この発表を聞きに来たんだよ」「面白かった」などのコメントや有識者との議論を通して、自身の研究へのモチベーションが高まる良い経験となりました。本研究は、地表徘徊性昆虫を調べることで森林生態系における137Csの動態を明らかするものです。この研究を通じて、放射性セシウムの生物移行に関する知見が蓄積され、汚染状況の把握や除染といった福島の復興に少しで繋がればと思っています。これからも研究に尽力致しますので、応援よろしくお願いします!
 

学生自主研究

 堀内さんは学部1年次、親友の加茂 楓葵さんとともに「森のゴミ処理場」というグループを結成し、『地表徘徊性甲虫の移動性と食性の関係』をテーマに学生自主研究に取り組みました。「動物の遺体などを食べる昆虫は、本当に動物性タンパク質に集まるのか?」という素朴な疑問からスタートしたこの研究。仕掛けたトラップによる比較実験の結果、予想通り動物性タンパク質に圧倒的多数の昆虫が集まること、そして「飛べる翅(はね)を持つ種ほど安定して餌にたどり着ける」という、移動性と食性のリアルな関係を解明しました。さらに学部2年次には、その研究成果を「日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会」という大きな学会の舞台で発表しました。今回の「ポスター賞」受賞は、まさに学部1年次から弛まぬ探究心で積み重ねてきた研究成果が結実した、努力の結晶と言えます。
 

[左]堀内 歩さん [中]指導教員の田中草太 助教 [右]加茂 楓葵さん 

後輩たちが憧れる頼れる先輩!

堀内さんは、後輩たちが憧れる頼れる「面倒見の良い先輩!」 生物環境科学科4年の種村さんと記念撮影