高校生建築提案コンテスト2011総評

高校生建築提案コンテスト2011

「『エコ』な材料と生活空間」

総 評

 

 

 今年度は「『エコ』な材料と生活空間」への提案として、全国の高等学校より30件の提案をいただきました。新しい建築材料の考案から、様々なアイデアを盛り込んだ住宅の提案まで幅広く、『エコ』という言葉のもつ多様さがそのまま作品に反映された形です。これだけ多くの作品を提案していただいた高校生のみなさん、本コンテストの企画にご理解くださった参加校の先生方に深く感謝の意を表します。
 
 提案内容の中には新しい建築材料および利用法として、木、竹、土、籾殻や麦わら、タイヤ、貝殻などを用いるものの他に、廃材であるシュレッダーくず、牛乳パック、チョークの残材、割り箸や、さらには栗のイガなど、高校生諸君が広く身の回りの素材を観察し、それらを活用しようとする意欲が感じられ、大変好ましく思いました。さらにいくつかの作品は、実使用時に便利なようにそれらの素材を成形したときの部材の形状についても言及するなど、検討を深める努力がなされていることにも敬意を表したいと思います。設計作品には力作が多く、模型を作りその写真を添えた作品、手書きの図面による作品など、思いを込めたものが目立ちました。特に今年の特徴として東北大震災に関連して仮設住宅に対する提案もあり、高校生諸君の復興への強い関心と願いを感じた次第です。

 建築も建築材料も世の中の動きに遅れることなく変化することが必要ですが、出来ることならばこうあるべきだという信念を持って世界の動きを先取りして、新しい姿を提案していくことが求められているのではないでしょうか。時事問題に関心のある人は、先般終了したCOP17(国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議)では現行の京都議定書の枠組みが暫定延長されることに決まった反面、そこから離脱する国も生じるなど、国々の様々な思惑によって、ストレートに温暖化防止に向かった努力が結集するものではないことを感じたと思います。そのような世界の動きの中でも、建築に興味がありこれからの世界を担うみなさんは、持続可能な世界の構築に向かうという強い信念と確かな知識を持って本当に「『エコ』な材料と生活空間」を考え続けてほしいと思います。


 今回のコンテストを通じて、これまで以上に持続可能性や地球環境に目を向け、建築や都市と人との関わりを考える様々な場面で『エコ』を意識しつつ、より質の高い空間創出の可能性について考えていただけると幸いです。また建築・都市環境への様々な今日的課題に対して、高校生の自由でのびのびした発想に基づく提案に今後も期待しています。

 

 

秋田県立大学 高校生建築提案コンテスト選考委員会

 

 

 

【参考サイト】

高校生建築提案コンテスト2011結果発表(入賞作品を公開しています)

コンテスト募集要項および関連資料

建築環境システム学科紹介

 

 

 秋田県立大学本荘キャンパス 建築提案コンテスト係

(本荘キャンパス事務局 総務・企画チーム)

 TEL   0184-27-2000

 E-Mail koho_akita@akita-pu.ac.jp