塩のお話

「塩のおはなし」~ちょっといい科学の話~

生物資源科学部応用生物科学科 助教 石川 匡子

塩は、味の最も基本となるものであり、調味料として欠かすことのできないものです。料理における塩の役割としてすぐに浮かぶのは、塩味をつけるということですが、甘味など他の味の増強、抑制効果、また、食品を加工する上での脱水、浸透、発酵調整作用などもあります。

以前は、塩といえば、数種類しかありませんでしたが、1997年に塩事業法が施行されたことにより、にがり成分を含んだ自然塩と呼ばれる塩が数多く製造・販売されるようになりました。

ひとくくりに自然塩と呼ばれていますが、実際にはいくつかの製造法があり、それにより粒の大きさや形状、溶けやすさ、成分なども異なっていることが分かりました。また、にがり成分は一部塩の結晶内部に含まれますが、ほとんどが表面に付着しています。

にがりを含んだ塩を口に含むと味が違うという人がいます。固体の塩の味について研究はあまりなく、味にはにがり成分ももちろんですが、それだけでなく溶けやすさ(粒の大きさや形状に由来する溶解性)も関係しているだろうと考えられています。

しかし、塩は直接口にするということは少なく、料理に使って口にすることがほとんどです。実際に調理に用いたとき、それらの違いが味や素材にどのような効果をもたらすか現在研究されています。塩の特性に合った利用の仕方ができるようになっていけばいいなと思い、我々もその研究に取り組んでいます。



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