メキシコ・グアダラハラ大学への技術指導

メキシコ・グアダラハラ大学への技術指導

 

システム科学技術学部
建築環境システム学科
助教 渡慶次 建
(トケシ ケン)

 

9月下旬、メキシコ第2の規模を誇る総合大学「グアダラハラ大学」にて地震防災に関するワークショップが開催され、講師として招かれました。グアダラハラ大学と本学システム科学技術学部とは、国際学術交流協定の締結に向けて準備を進めており、先ずは本学の先端技術を紹介する意味も兼ねて行ってきました。
 
1985年のメキシコ地震(M8.1)では、震央から350kmも離れていたにもかかわらず、メキシコシティの中高層ビルの3分の1が倒壊し、5,900人以上の死者が出ました。この教訓から、地震リスクのある都市では地盤条件を詳細に分類することの重要性が認識されるようになりました。3つの活断層が集まる3百万都市「グアダラハラ市」も、地盤の弱い地震リスクのある都市として知られており、地盤の振動特性の検討を含む地震防災対策が緊急の課題となっているところです。
 
本ワークショップでは、地盤構造を推定するための「常時微動※観測」という技術を、地球物理学・地質学・土木・電子など地震防災に関係する教員・研究者に伝えました。この手法の特徴は、いつでも素早く、低コストで測定することができ、地震時の地盤の揺れ方に関する分布地図が作れることなどにあります。今回は、グアダラハラ市の西側にあるアメカ市で実際に測定観測をしました。今後はさらに、ハリスコ州の他の都市でも現地の関係者により研究が続けられる計画になっています。
 
ちなみに、グアダラハラ市は1541年に建設された歴史のある州都です。海抜1500メートルの高原に位置し、年平均気温は19度で、街には年中花が咲き「(メキシコの)西部の真珠」と呼ばれる美しい都市です。周辺には、マリアッチ音楽、民芸品、陶器、テキーラ酒等に深く関連する地域が散在する楽しい街でもあります。本学の技術がメキシコ文化にも貢献するよう、今後両校の交流がますます深まることが期待されます。

 

 Mexico1.JPG Mexico2.JPG

アメカ市での常時微動観測
 

 Mexico3.JPG Mexico4.jpg

 現地の教員・研究者と渡慶次助教

(前列右から2人目)

 「常時微動」とは、人工的または

自然現象(車の振動や風など)による

体感できないような、わずかな揺れの

ことを言います。