本学大学院生が「第67回日本菌学会」で最優秀賞を受賞しました

 令和5年5月27日(土)~28日(日)に開催された「第67回日本菌学会」において、大学院・生物資源科学研究科 博士前期課程2年の阿部晴紀さん(応用生物科学科微生物機能グループ)が、学生発表審査において最優秀賞を受賞しました。

 阿部さんは、幼少期から菌類とりわけキノコに興味を抱き 、微生物や菌類について深く学ぶため秋田県立大学に入学しました。入学後は、指導教員の村口 元 准教授[専門:菌類遺伝学]の研究指導の下、1・2年生を対象とする学生自主研究制度を活用し研究をスタートし、その後も学部そして大学院と一貫してキノコの研究を続けています。キノコの不思議な世界に魅了され、その謎を解き明かすためコツコツ努力を積み重ねた結果、本賞の受賞に繋がりました。  

研究発表タイトル

 『ウシグソヒトヨタケの傘成熟に必要なCc.Chd1タンパク質と暗期誘発性因子DIFとの関係 』
  阿部晴紀、村口元

研究概要

 モデルキノコ「ウシグソヒトヨタケ」の子実体(キノコ)が成熟するには、光が当たらない時期(暗期)が必須であり、暗期を与えない(連続明)条件下では子実体成熟が途中で停止してしまいます。先行研究において、暗期を与えた傘組織を連続明条件下の傘組織に接木したところ、連続明条件下の子実体が成熟したことから、暗期誘発性因子(Darkness-induced factor:DIF)の存在が示唆されました。前回の「第66回日本菌学会」では、ウシグソヒトヨタケが暗期を経ることで、Cc.Chd1というタンパク質が作られ、減数分裂を進行させることで傘組織成熟を促されることを報告しました。今回は、先行研究で示唆された暗期誘発性因子DIFと前回発表した暗期に作られるタンパク質Cc.Chd1の関係を調べ、報告しました。

受賞コメント

 この度は、「第67回日本菌学会」の学生発表審査において最優秀賞をいただき、大変光栄に思います。日本菌学会の参加者は別分野の方が多く、私の研究内容に興味を持っていただけるか不安でしたが、このような評価をいただき嬉しい限りです。またキノコの接木実験は先例が少なく、手探りしながらの実験でしたが、村口准教授のご指導のおかげもあり今回の成果を出すことができました。現在はDIFとはどのような物質なのかを調べています。卒業が迫ってきていますが、このままキノコ研究に邁進していきたいです。
 

受賞した阿部晴紀さん

指導教員の村口 元 准教授と

日々、キノコ研究に没頭

研究材料のウシグソヒトヨタケ

接ぎ木実験の様子