日本建築学会で「優秀卒業論文賞」を受賞!

システム科学技術研究科 建築環境システム学専攻 博士前期課程1

高松 真理(建築環境学研究グループ所属)

 

システム科学技術学部建築環境システム学科の卒業論文としてまとめた「戸建住宅10件における居住環境とアレルギー性疾患等との関連性に関する長期実測」が、2008年日本建築学会優秀卒業論文賞に選ばれ、918日に広島大学で開催された日本建築学会大会で表彰されました。

 

近年、多くの人がアレルギー性疾患に悩まされています。原因はさまざまですが、そのひとつに居住環境要素であるカビ、ダニなどが挙げられています。そこで、この研究ではアレルギー性疾患を持つ居住者のいる住宅5件とそのような居住者のいない住宅5件を一年間毎月訪問し、実測をして室内環境のデータを収集しました。両群の比較を通じてアレルギー性疾患に影響を及ぼす室内環境の要因について考察しました。

 

一年間に及ぶ毎月の実測調査に協力していただきました居住者の皆様には、深く感謝いたします。また、調査では研究室の多くのメンバーに毎回手伝っていただきました。当初、思うようにデータの相関が見られませんでしたが、先生方から分析方法をはじめさまざまな面でご助言をいただいたおかげで卒業論文としてまとめることができました。

 

大学院では、引き続き室内環境とアレルギー性疾患等との関連性について研究しています。アレルギーについて建築学科で研究するということを不思議に思われるかもしれませんが、この問題の解決には医学ばかりではなく、建築学やさまざまな専門分野の知識が必要とされています。今後も問題解決に少しでも貢献できるよう研究に取り組んでいきたいと思います。

 


【受賞対象論文】

戸建住宅10件における居住環境とアレルギー性疾患等との関連性に関する長期実測

 

【優秀卒業論文賞推薦理由】

実際の住宅の居住環境をケースコントロールするという、興味深くかつ実用性のある研究を実施した。内容は温湿度、ダニ量、カビ数の計測、居住者のヒアリング調査、建築実測図面などから構成されており、骨太な研究といった感じを受ける。この種の研究は旧来からの手法に忠実であることが重要で、その点は丁寧な作業がなされている。論文は数多くの図から構成されており、文章も素直で明解で卒業論文として顕著に値する。


 

日本建築学会大会(広島大)での表彰式 

  大学院で研究を続ける高松さん

日本建築学会大会(広島大)での表彰式

大学院で研究を続ける高松さん