本プロジェクトは、
①畜産に関する専門知識を習得すること
②研究活動を通じて論理的な思考力・考察力や創造力を養うこと
の2点を教育の目標としています。
また、研究では「畜産資源の高度利用による食肉生産技術(体系)の創出」を
目標(大テーマ)に掲げています。
さらに、この大テーマには以下の2つの研究開発課題(中テーマ)を設定し、
各専門分野の研究成果の有機的な活用・応用を図る研究体制としています。
1)日本短角牛の資源循環型飼養体系の構築
2)優良家畜生産を目指す動物機能制御技術の開発


1)日本短角牛の資源循環学型飼養体系の構築について
本プロジェクトでは、資源循環利用に適した日本短角種の飼育を柱とする
肉用牛の生産に取り組んでいます。
この取り組みでは、次の各要素の有機的な生産体系の構築を図り、地域の農畜産の発展とともに美味しい赤身牛肉を消費者に提供することを目指しています。
【具体的な内容】
① 牧草類の消化利用や放牧に適した品種の日本短角種を柱とする
肉牛の安定生産(繁殖・肥育)
家畜排泄物の堆肥化による物質循環と飼料の自給
飼料用米、米ぬかや大豆など地域産飼料資源を積極的に活用する
純国産飼料の生産・利用(耕畜連携など)
赤身肉の品質向上技術の開発

2)優良家畜生産を目指す動物機能制御技術の開発について
各教員の専門分野からのアプローチにより、良質な食肉の生産に向けた研究が進められています。
①家畜繁殖学分野
〜卵巣内未成熟卵子を有効活用する次世代型家畜生産技術の開発
 家畜生産効率の改善を目指した研究に取り組んでいます。3年次では,AICの肉用牛(日本短角種,黒毛和種)を利用して、家畜人工授精や雌牛の繁殖管理などの家畜繁殖技術の基礎を修得しながら,家畜生産の現状・課題を理解します。さらに,体外受精などのより高度な家畜繁殖技術にも取り組み,新しい家畜生産技術の可能性について知識を深めます。これらの専門的な知識や技術を活用して,4年次のプロジェクト卒業研究では,卵巣内卵子を有効活用する家畜生産技術開発のための研究テーマに取り組みます。
②家畜飼養管理学分野
飼料自給率100%を目標とした土地利用型畜産経営モデルの創出
 飼料自給率の高い畜産経営の確立を目標とした,日本短角種の放牧飼養管理技術,また高栄養飼料作物の栽培や耕畜連携による資源循環利用に関する研究に取組みます。3年次では、家畜飼養管理の基礎として,飼料作物の生産と調製,そして家畜への給与までの流れや,放牧管理することを,栽培・栄養・行動の側面から科学的に学びます。4年次のプロジェクト卒業研究では,「土-草-牛」そして人との関係をキーワードとした,土地利用型畜産につながる研究テーマに取組みます。
③食肉生産科学分野
ストレスと筋線維型に着目した肉用牛の生産性と肉質改善に向けた研究
 肉用牛の生産性と肉質の向上を目標に,内分泌ホルモンと筋線維型に着目した研究を行なっています。3年次には,AICの牛を使った血液成分分析や,牛と同じ反芻動物のヤギを使った解剖実習を通して,反芻動物の体の構造や食肉について学びます。また,肉質を分子レベルで理解するために,筋肉の構造観察やタンパク質,遺伝子発現解析,筋肉由来の細胞を用いた実験を行います。4年次のプロジェクト卒業研究では,AICの牛を使って飼養環境や飼料の違いによる生体内への影響を検討することや,培養細胞を用いて筋肉の成長や筋線維型変化に関連するメカニズムの解明に取り組みます。
④飼料機能科学
地域資源を活用した家畜の生産基盤の強化
 地域における⾷品製造副産物や農場残さ等、未利用・低利用の資源が持つ機能性を活⽤し、家畜生産の基盤強化に向けた研究に取り組みます。3年次では,未利用・低利用資源の飼料価値を検討する上で必要な飼料成分の分析・評価法について学び,その技術を習得します。4年次のプロジェクト卒業研究では,3年次で学んだ飼料の評価手法を併用し,未利用・低利用資源が家畜に及ぼす効果やその作用機序の解明に取り組みます。