平成20年度 公開講座

「高齢社会における食の役割と展望」

生物資源科学部 教授 秋山美展

最近の食に関する事件や事故の増加、地球温暖化に伴う食糧生産需給構造の急速な変化など、食をめぐる課題は現代社会の大きなテーマとなっています。わが秋田県でも高齢者の人口比率が全国一高く、この傾向は今後も続くものと考えられています。私たちは、このような社会状況を背景として、高齢者における食の重要性や解決すべき課題について産官学の連携のもとに研究をスタートさせました。高齢者の心身両面の健康を食によって支えていくための取り組みについてご紹介いたします。

「食を楽しむ−亀の甲より年の功−」

生物資源科学部 特任教授 松永隆司

秋田の未来は年寄りが住みやすいか、住みにくいかにかかっています。全国一の高齢者地域が年寄り天国となれば、日本の進むべき見本となる最先進地域ということができるでしょう。毎日の食事を本当に味わうには食経験が必要です。口にする物の正体を見極められずに味わうことはできません。甘いとか、辛いだけでなく、食べ物の正体(出所、特長、思い出・・)を個人の経験に照らして評価するには、年期と訓練つまり年の功に勝るものはありません。このような人の割合が、他のどの地域よりも多くなる秋田県は食の先進地となることができるのです。