子吉川レガッタ2013に向けて(8)
多様な役割が求められるコックス.

ボートの大会のことをレガッタという.
日本でボートレースといえば,普通は平和島などで開催される競艇をイメージする.
ただし,テムズ川においてケンブリッジ大とオックスフォード大の間で競われる対校レースは「The Boat Race」と呼ばれている.
定冠詞を付けているあたりが,唯一のレースであることを強調しているのだろう.

The Boat Raceと同様に子吉川レガッタでは,コックスの性別は不問となっている.
漕手とは違って男女間での体格や体力の差に影響されない柔軟性の高いポジションである.
一方,コックスの役割は,操舵,クルーの指揮,各漕手への気配り等々,非常に多様である.
ここでは,技術面の操舵(ラダーワーク)に注目してみたい.

ボートは,船尾(スターン)に取り付かれたラダーにより水流を変化させて発生した横方向の力を利用して進行方向を変更する.
このため,水流を変化させるためラダーを切ることにより僅かであるが艇は減速し,遠心方向に傾きが生じる.
コックスは舵手だけど,ラダーを極力使わないで進路を定めるのが名コックスとなる.

ラダーを使わないコックス.
メスが使えない外科医のように,一見して矛盾しているようにも思える.
さて,どうするか?

バウサイドとストロークサイドの力の差を瞬時に感じ取り,一方が弱い場合は,その旨を伝える.
ただし,ボートは構造上,バイサイドが若干強くなる傾向にある.
その分を差し引きして,ラダーを切らずにゴールに向って一直線にボートが進むように指令する.

もしどうしても進行方向が定まらない場合は,ボートが加速してるドライブ中ではなく,減速しているフォワード中に少しだけラダーを切る.
角度は20度以内.
30度以上切ってしまうと,旋回力よりも抵抗の方が大きくなる.
事前にラダーロープの引きに応じてどの程度の切れ角が生じるかを確認しておくとよい.

外科医もコックスも,切るのは最終手段として,できる限り自然な回復力や復元力に任せたい.
ただし切るタイミングを失すると,取り返しがつかないくらいに進路から外れてしまう.
切るときは切るという決断力も大切である.
ラダーロープから水の感触を感じつつ,できれば漕手に気づかれないように切る.

| ボート | 09:42 | comments (x) | trackback (x) |

  
CALENDAR
S M T W T F S
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
<<   05 - 2024   >>
LOGIN
ID:
Pass:
OTHERS
POWERED BY
POWERED BY
ぶろぐん
SKIN BY
ブログンサポート