【プレスリリース】あきた伝統野菜「種と人の物語」出版~郷土作物の発掘と種の保存に向けて~

       あきた郷土作物研究会  [左]吉澤 結子 顧問 [中央]櫻井 健二 会長 [右]吉尾 聖子 副会長

 生物生産科学科の櫻井 健二 教授[園芸育種学/果樹園芸学]が会長を務める「あきた郷土作物研究会」では、貴重な秋田の地域資源であり、生きた文化財ともいわれる郷土作物の発掘や種の保存、地域独自の食材による食品関連産業の活性化に取り組んでおります。

 この度、研究会では秋田県内で受け継がれる伝統野菜の今昔を豊富な写真とともに紹介する書籍『あきた伝統野菜「種と人の物語」』を出版し、その成果発表会を令和7年10月27日(月)に秋田県庁で開催しました。発表会では、多種多様な色彩を持つ伝統野菜の現物と、継承されてきた貴重な種のコレクションを展示し、報道機関の皆様に実際にご覧いただきながら、書籍を通じて秋田の郷土作物の伝統が未来へ継承される重要性について紹介しました。

 櫻井会長は、伝統野菜を取り巻く現状と今後について、「伝統野菜は、単なる農作物としてではなく、秋田の気候・風土・食文化を伝える貴重な地域資源として認識されている。一方、農業の均一化や集約化が進む中、均一化に不向きな伝統野菜は淘汰されやすい傾向にあることに加え、生産者の高齢化や後継者不足が深刻であり、生産が激減している品目もある。そうした状況の中、伝統野菜は、太古から地域で選抜され淘汰を繰り返して生まれた重要な遺伝資源であり、これが失われることは、人類全体にとって大きな損失となる。今回の書籍出版は、地域の食文化を守り、未来へ繋ぐ確かな成果です。種と人、そして暮らしの記録が、野菜とともに後世に伝わることを願っています。」と、書籍に込めた使命と未来への想いを強く語りました。

あきた伝統野菜「種と人の物語」

 これまでの研究成果をまとめ8月1日に出版しました。栽培地や文献などの調査、実験など学術的な観点から検証を加え、県内で伝統的に栽培される「沼山大根」「三関セリ」「てんこ小豆」など、伝統野菜39品目を紹介しています。

あきた伝統野菜「種と人の物語」

B5判・カラー 144ページ 本体価格:3,000円(税込)

【販売箇所】
  秋田市文化創造館(秋田市)
 秋田市民市場「あいば商店」(秋田市)
 秋田県庁地下売店(秋田市)
 Atle DELTA(秋田市)
 川添い(秋田市雄和)
陽気な母さんの店(大館市) 
カフェ花草(由利本荘市)
 ミンカ(大仙市)
 デリカテッセン紅玉(横手市)
 旬菜みそ茶屋 くらを(横手市)
 momotose(湯沢市)
端縫いの里(羽後町)
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記者会見の様子

 ※会見の内容は、以下のメディアに取材いただきました
  AAB秋田朝日放送 読売新聞 朝日新聞 産経新聞 日本経済新聞 秋田経済新聞 

あきた郷土作物研究会について

 秋田県内に古くから伝わる伝統野菜や郷土作物の調査、保存、活用を通じて、地域の農業と食文化の活性化を目指し、2013年に設立された任意団体。特に秋田県立大学の教員が中心となり、学術的な知見に基づいた取り組みを展開しているほか、会員として生産・流通・販売・飲食店の関係者や野菜ソムリエなど約130人が参画し、年1・2回、生産現場の訪問し、収穫体験や料理試食、調理方法の情報交換等の活動を行っています。秋田県内に埋もれていた伝統野菜の発掘に精力的に取り組んでおり、2020年には新たに9品目の野菜を「あきた伝統野菜」として秋田県に提案し認定されました。