講義の紹介

土壌学 (担当 金田吉弘)

「母なる大地」といわれるように、土壌は食糧生産の場であると同時に、人類の生存を支える場でもあります。土壌中には、無機物質の他、腐植などの有機物質、小動物や微生物などの生物、水、ガスなど様々な物が混在します。それらは、互いに関係し合いながら、自然界における物質循環の役割を担っています。

土壌学では、初めに土壌がどのようにしてできあがってきたかを学びます。また、土壌が持つ物理的および化学的性質を具体的に解説しながら、植物/作物にとって最も重要な水分や養分を貯蔵したり調節したりする働きについて学びます。

次に、自然条件や人間活動によって生ずる環境変化に対して、土壌が持つ調節機能や環境修復機能について学び、人類の将来にとって土壌がどんな役割を担っているのかを考えます。さらに、秋田県は、わが国でも最も重要な食糧供給基地の1つでもあることから、生産性の高い持続的農業を実践する場合の水田や畑の土壌管理についても理解を深めます。

森林生態学 (担当 星崎和彦)

“自然を観る目”ってなんだろう?「木を見て森を見ず」という言葉があります。逆に「森を見て木を見ず」という言葉もあります。そのどちらであっても自然を理解することはできないでしょう。すなわち、森を知るためには、その全体像とそれを構成している個々の木々の姿の両方を知らなければなりません。

我々の回りには実に多様な生物が実に様々な方法で生きています。枝の伸ばし方、花の形や咲かせ方、果実のタイプ、大きさや数・・・こうした特性はその生物がどんな環境でどのように生きているのかを反映しています。そうした「生物の生き様(ざま)」を明らかにするのが生態学です。

この講義では、生態学の基礎理論を身につけると共に、日本に分布する多様な森林植生の特徴と構成種の生活史特性、森林を舞台に繰り広げられる動植物の様々な相互関係や森林生態系の動態について学びます。生物の具体的な生活様式に注目し、「木も見て森も見る!」ことができるようになることを目指します。

環境生態工学 (担当 尾崎保夫)

人類は、生態系の物質循環機能(食物連鎖)の恩恵を受け、これまで文明を発展させてきました。しかし、20世紀後半からの人間活動の飛躍的な増大は、地球温暖化、酸性雨、閉鎖性水域の富栄養化、地下水汚染など様々な環境問題を引き起こしています。環境生態工学とは,太陽エネルギーと生態系が本来持っている自然浄化機能を最大限に活用して,石油等の化石エネルギーに依存しないで汚染された環境をもとのきれいな環境に戻す工学的手法であり,近年,世界的にも注目されている新たな学問分野です。

本講義では、各生態系の構造と機能やアオコの異常発生などで問題になっている八郎湖等閉鎖性水域の水質改善に役立つ生態工学的な環境修復技術を習得することを目標としています。具体的には,よごれた水環境の蘇生に活躍している微生物,原生動物,魚介類,水生植物などの働きや,その機能を活用した環境修復技術等について学び,私達の「いのちの水」を守る人材を養成したいと考えています。

環境経済学 (担当 中村勝則)

このホームページをご覧になっているあなたは、環境問題に少なからず関心をお持ちだと思います。環境問題は私たち人類が取り組まなければならない最大の課題であるといっても過言ではありません。

環境問題の解決のためには、どうすればよいのでしょうか。一つには技術的なアプローチが考えられます。自然界から採取した物資をできるだけ無駄なく使う技術や,汚染物質を除去する装置の開発などです。けれども、それだけでは問題は解決しません。環境問題は、私達人間の経済活動を通じて引き起こされるからです。

そのため二つ目として、経済的なアプローチが不可欠となります。例えば、汚染物質の排出に関する規制を設けたり、環境に配慮した製品にかかる税金を軽減したりすることが考えられます。

環境経済学は、環境と経済を両立させ、私達一人ひとりが本当に豊かな生活を享受できる社会を実現するためにあります。その内容を、(1)環境問題とは何か、(2)なぜ引き起こされるのか、(3)どのような方策があるかに分けて学びます。

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