青春のまっただ中にある皆さん。大学生活は、心身ともに人生の背骨を形づくっていく時期。私たちは、皆さんがまっすぐに、強く、しなやかな自分づくりを進めていかれるよう、しっかりとした課題を投げかけ、見守り、応援していきます。
本学がある秋田県には、あふれるばかりの生物資源と生物環境があります。私たちはまず、その自然環境・生物環境の良さ、美しさ、豊かさをたっぷりと享受しながら、自然へのかかわり方、人と人のかかわり方など、これからの地球市民、日本列島市民に求められる健全な環境観を皆さんにしっかりと学んでいただきたいと思います。
つぎに、多様な仕事社会に有用な人材になるために、生活に身近なところから地球まで広がる生物環境に関わる問題の解決をめざして、様々な環境と共生できる技術やシステムを提案していきます。学生の皆さんは、そうした能力を身につけていくため、環境科学や生物科学、地球科学、英語、コンピュータ等に関する基礎素養を身につけ、それを活かせる力(リテラシー力)を養い、さらに化学、生物学、社会科学の3つのアプローチを学びます。その上で、本学科が環境問題の解明や解決に欠かせないと考える6つの専門分野、大気・水圏環境学、土壌環境学、自然生態系科学、森林科学、生態系工学そして地域計画学のいずれかに進んで実験・演習を積み、自分に興味が持てる現象や問題に関して卒業論文作成に取り組みます。
山の上に落ちた水一滴が海に至る道のりを想像すれば容易に分かるように、それぞれの現象や問題には相互に密接な関係があるため、各分野や各アプローチを連携させながら解明に取り組み、対策を立てていく必要があります。このため本学科の教員や学生・大学院生は、専門を越えた学際的な協力を重視して教育研究を進め、学会ならびに社会から高く評価される成果をあげてきています。たとえば松枯れ病防除に関する「秋田方式」の開発・定着は、東北地方のような冷涼地におけるマツ材線虫病の特異な生態を解明するという画期的な知見をもとに、従来からの暖地と同様の被害木全量駆除方式からマダラカミキリの寄生している被害木を選択的に処理する方式を提案したものです。これは予算的にも効率的なため秋田県の防除方式に採用されたほか、さらに炭焼き被害木を水質浄化に再利用する新システムも提案し、文字通り循環型社会形成の一手法として注目されています。
このように本学科では、生物環境に関するトータル・サイエンスとフィールドに即した科学的鍛錬を重視し、「大学生としてふさわしいものの見方や問題発見能力、得られた知見を社会に伝えるコミュニケーション能力を身につけた人材」、「進んでフィールドを訪ね、地域の人々と対話し、身体を使うことをいとわず、気働きができる人材」、「分析技術、フィールド調査技術、データ解析等の基礎力を持った人材」の育成をモットーとしています。その結果、本学科で学んだ皆さんが有為の人材として社会に評価され、輩出されています。
その水準をさらに上げ、社会に貢献するには、学科教員はもとより、学部学生の卒業論文研究、さらには大学院生の修士論文研究、博士論文研究など、より高い水準へのチャレンジが大切です。このため本学科では、高水準の研究論文を完成させる指導だけでなく、学部・大学院を通じてそれらを総合的に学びながら、専門に向かって着実にステップ・アップできるカリキュラムを用意し、教育水準を保証しています。
あふれるばかりの生物環境のシャワーを浴びながら、この地でともに学びましょう。