9月11日の講義内容 公開講座

植物と菌類(微小菌類)の共生
~植物の病気から土壌微生物まで~

教授 古屋  廣光

“共生”は英語で“symbiosis”(シンビオシス)といいます。最近ではこの言葉がいろいろな場面で使われますが、もともとは植物と菌類の関係を示すためにつくられた言葉です。植物と菌類の共生関係はそれほど身近で多様な現象です。この“共生”が農業を通じて、私たちへの生活にも大きな影響を与えています。今回はその一端をご紹介しながら“共生”関係とはどのようなことかについても考えてみたいと思います。

コケ植物ではないこけ「地衣類」
~菌類と藻類の共生が産んだ生き物~

准教授 小峰  正史

地衣類は、菌類と藻類による共生生物です。普通の菌類が他の生物からの養分吸収を必要としているのに対し、地衣類は藻類の炭酸同化産物を栄養源とするので、他の生物が存在しなくても生きていける変わった菌類となっています。また、非常に特殊な化学物質「地衣成分」を産生するので、古くから薬品や染料の原材料として用いられていました。今回はこのように変わった特徴を持つ地衣類について紹介します。