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メッセージ

教育カリキュラム改革の意義と
学科再編について

写真/秋田県立大学学長 小林淳一
秋田県立大学
学長 小林 淳一
平成29年度から現職
(平成23年度から平成28年度まで本学副学長)

大学における従来の教育は、技術分野ごとの学問体系をきちんと教えることに主眼が置かれていました。これにより学生は企業における開発、設計、生産さらには営業、サービス部門においても比較的スムーズに仕事に溶け込み、また積極的に会社に貢献することができていたのです。周りの技術や知識については、入社後会社が教育してくれました。この教育モデルは、企業の進むべき方向性がはっきりしていて、それを実行さえすればそこでの成長が約束されていることが前提です。従業員は与えられた課題を効率よくこなしていくことに専念すれば、全体もうまくいくようになっていました。つまり素早く、効率よく仕事をするために学問体系を学ぶのです。

しかし、最近の日本の産業界は、昔と同じ事をやるだけでは、会社の存続が危ぶまれるようになりました。従業員は一人ひとり社会情勢、ビジネス環境を見極め、現状のビジネス環境の問題点を指摘し、それを解決していく手段を提案し、実行することが求められるのです。別な言い方をすると、かつては会社がありその中に勤勉な従業員が位置づけられていましたが、最近では、有能な従業員がそれぞれの立場でビジネスを進め、その集合体として会社が存在するように変わってきたのです。これにより大きく変化するビジネス環境に素早く対応できるようになります。

本学ではこの様な背景に対応するための教育カリキュラム改革を進めました。具体的には、従来の技術分野教育に加え、自ら考え、課題を解決していく習慣が持てるような教育プログラムを追加すると共に両者の関係が分かり合える工夫を施した新しい教育カリキュラム体系です。

一方、今回のシステム科学技術学部の学科再編は、現在の機械知能システム学科、電子情報システム学科の2学科を、産業界のニーズにあった機械工学科(エネルギー、輸送などの社会基盤を支える実践的技術者教育)、知能メカトロニクス学科(制御を技術基盤とし、機械、電子の両方が分かる技術者教育)、情報工学科(人を援ける賢い情報システムを創造する技術者教育)の3学科とします。これらの学科に上記の教育カリキュラム体系を実践することにより、企業の中核として働く10~20年後活躍できる人材が育つと考えています。

学科再編を含んだ教育カリキュラム改革の実施は平成30年4月からであり、着実に実行していきます。しかし、新たな課題も出てくると考えられるので、これからも教育カリキュラムの改善を並行して進めていくことにしています。秋田県立大学のこの様な取り組みに、ご理解とご支援をよろしくお願いします。

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