「楽しい人生、よい眠り」~睡眠のメカニズムを知れば、生活はより豊かになる~
滋賀医科大学特任教授の宮崎総一郎先生の講演を聴講してきました.



講演は「象潟や 雨に西施が ねぶの花」から始まりました.
夕方になると葉を閉じ,朝になると開く合歓の花は,にかほ市の市の花でもあります.
宮崎先生は2003年まで秋田大学医学部で助教授をされていたので,秋田のことにも詳しく,竿燈はもともと「ねぶり流し」と言われていたことや,「ねぶり」は秋田弁で「眠り」を意味するということなどから,睡眠学の話へと入ってゆきました.

講演は以下の4項目から構成されていました.

1.眠りは脳を創る
2.眠りのメカニズム
3.眠りと健康
4.健やかな眠りのために

重要そうな部分をメモしましたが,聞き間違いがあるかもしれません.

1.眠りは脳を創る
・20歳くらいまでは,睡眠とともに脳は成長する(大きくなる).
・5歳くらいになると「○,△,×」が正しく書けるようになるが,就寝・起床時間が不規則な子供は正しく書けないことが多い.脳の成長に影響が出ている.
・朝起きて,15~6時間後に眠くなるので,「早寝,早起き,朝御飯」よりも「早起き,早寝,朝御飯」と呼びかけている.起床時間が基準.早起きしないと,いくらがんばっても早寝はできない.
・夜は判断能力が鈍る.テレビショッピングは判断能力が鈍った脳を標的にしているので要注意.
・眠りは脳を創る,育てる,守る,修復する,よりよく活動させる.

2.眠りのメカニズム
・虎は夜行性なので,昼間に触っても怒らない(虎を触れる動物園が外国にある).
・人間の遺伝子は,昼間に活動して夜に休息(睡眠)するにようになっている.
・中学生の4割は入眠障害(不眠症).
・大きな事故は午前4時台に発生する(スリーマイル島原発事故,千葉沖でのイージス艦と漁船の衝突事故,関越道高速バス事故など)
・世界で最も睡眠時間が少ない国は韓国,2位は日本.
・夜は入眠準備のためにも,直接照明より間接照明がよい(海外のホテルはほとんどが間接照明).日本の家は明るすぎ.
・メラトニンが睡眠を促すホルモンで,セルトニンが覚醒を促すホルモン.
・夜はメラトニンを分泌させ,日中はセルトニンが分泌するような生活習慣を心掛けること.
・光の色は赤色(昔の電球の色)が良い.白色(蛍光灯の色)はメラトニンの分泌を少なくする
・外で光を浴びる時間を1~2時間程度取るとよい.
・日光浴で認知症の症状が緩和したという事例報告もある
・人間の体内時計は23.8~24.2時間.概日リズム障害は25時間になているので,朝の光で体内時計を戻すことが大切.

3.眠りと健康
・成人男性の30%は肥満(増加傾向にある),女性は20%(増減なし).
・成人男性は肥満度が増えているが,摂取カロリは減少している(340kcalくらい).カロリ摂取が減っているのに,肥満が増えているのは「運動不足」と「睡眠不足」が原因(和田先生御回答).脂質摂取の増加も一因となっている
・レプチン:太り過ぎないように抑制するホルモン,グレリン:食欲を増進させるホルモン.
・夜遅くまで起きていると,必要以上にグレリンが分泌される.
・睡眠時間が短くなると高血圧になる傾向がある.
・朝食はたくさん食べて,夕食を少なくすると,血糖値も良くなるというデータがある.
・睡眠時間には個人差があるが,目安としては,中高生:8時間,社会人:7時間,60歳以上:6時間くらい.

4.健やかな眠りのために
・理想は目覚ましを使わずに自然に起きれること.
・アルコールは入眠を促進するが,睡眠を妨害する.朝の目覚めが悪くなる.アルコールは睡眠薬にはならない.
・安いお酒は大量に飲む危険性があるので,高いお酒を買って少しだけ飲むようにする.
・晩酌は寝る3時間以上前にする.
・寝る前に手,首のストレッチをすると入眠が促進される.
・テレビは9時以降には見ないように.テレビを消してラジオを聴く.ラジオはタイマ機能付がよい.
・朝のテレビは脳の刺激に良い.
・目覚めに朝日を浴びるために,カーテン少し開けて寝る.遮光カーテンは×.
・朝食には焼き魚や納豆などでたんぱく質を摂ると良い.

最後に睡眠推進員の証をもらいました(ほんとうは最初に受付で配布されたのですが).
証の表には,睡眠推進員に任命しますので睡眠知識を活用し,自身と地域の健康増進にお役立て下さいと書かれていました.
裏には「よい眠り3つの習慣」が書かれていたので,以下に転記しておきます.

1.早起きすると早寝ができる
カーテンを10cm開けて寝るとよい目覚め
2.朝・昼をしっかり食べて夜は少なめ
夜遅い食事は肥満のもと
3.夜は暗くして快眠モード
明るい照明は寝つきを悪くする


<所感>
 大学では時間が自由に使えるので,生活が不規則になりがちです.早起きすれば,15~16時間後に自然に眠くなるそうです.まずは眼覚まし時計を設定して,スヌーズに頼ることなく布団から出ることが大切だと思いました.そして,たんぱく質に配慮してたっぷりと朝食を摂る.日中は研究室に篭ってばかりいず,外に出て体を動かす.太陽の光をたっぷりと浴びる.夕食は少なめにする.お酒は高いものを少しだけ飲む.夜はテレビを見ない.ニュースも見ない.寝る前はパソコンも携帯も使わない.部屋の灯りを暗くして,ラジオを聴くか,読書をする.そういった生活にしたいなと強く思いました.

| 学内および学外交流 | 14:33 | comments (x) | trackback (x) |

  
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