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植物揮発性物質の研究:メチルジャスモン酸による植物自己防御機構の活性化メカニズムを明らかにする。

生物生産科学科 教授 田母神 繁

今進めていること

メチルジャスモン酸による植物揮発性物質の誘導に関する研究を進めています。昆虫の食害を受けた植物は揮発性物質を放出します。この物質は,食害昆虫の天敵を誘引する活性を持っていたり,周囲の植物に種々の防御遺伝子の発現を誘導することが知られています。植物がどのような仕組みで食害を認識するのか,さらに,どのように揮発性物質を放出するのかを探っています。

少々詳しく言うと・・・

植物揮発性物質の放出を誘導する化合物(エリシター)の一つに,メチルジャスモン酸(MeJA)があります。メチルジャスモン酸を植物に与えると、植物は様々な種類の防御物質を生産します。そもそもなぜメチルジャスモン酸を与えると植物が物質生産を始めるのかという点に疑問を持っています。メチルジャスモン酸自体は不活性な化合物であり、それが活性化体に代謝されて作用を発揮すると考えられています。この課題について私達は研究を進め、MeJAを受け取った植物は,MeJAを加水分解してイソロイシンと結合させ活性体に変えていることを初めて実験的に明らかにしました。

ここまで到達したい!

メチルジャスモン酸には2種類の異性体がありますが,それぞれの異性体の作用機構の違いについて今後明らかにしたいと考えています。また、メチルジャスモン酸以外の、揮発性の機能物質についても研究中です。これまでの私達の研究結果から、植物は空気中を漂う化合物を自身に取り入れ、それを別な化合物に変換し、さらにその化合物を外気に放出していることが分かってきました。これらの特別な化合物の役割についても明らかにしたいと考えています。

おまけの一言

あたりまえのことですが、一歩一歩、地道に研究を重ねることが大切だと思っています。また、月並みですが、若い人たちは夢を持って実験に励んでください。

私達の研究に興味ある方は最近の代表的な論文をお読みください。
BBRC,376, 723-727(2008)
Journal of Plant Physiology,167,933-937(2010)
FEBS Letters, 585,1807-1813(2011)
Advances in Botanical Research,60,309-348(2011)