秋田県立大学 地域連携・研究推進センターHOME研究紹介

パターン異常突然変異体を探せ!
〜イネの生長の鍵をにぎるマスター調節遺伝子の発見を目指して〜

生物生産科学科 准教授 佐藤(永澤)奈美子

今進めていること

 器官の分化や生長のパターン異常が起きたイネ突然変異体を見つけようとしています。既に見つかっているものの一つが、下の写真の突然変異体(中)です。数字は、発芽後葉が伸長してきた順にふっています。一見突然変異体と普通のイネ(左)との違いはよくわからないかもしれません。
 しかし、発芽後4番目に伸長してきた葉を拡大すると、下のように見えます。元の葉の背側にくっついた状態で、余分な葉が一枚分化しているのです(右)。
 これは、イネの葉の分化パターンに異常が起きた例と言えます。つまり、この突然変異体でこわれているひとつの遺伝子は、葉という器官を作る際、他の遺伝子の上に立って命令を下していた遺伝子であるはずです。この遺伝子がどんなタンパク質をコードし、どんな遺伝子に命令を下しながら葉を作っているのか、これから明らかにしていきます。

少々詳しく言うと・・・

 植物の形質は、無数の遺伝子によって決定されています。無数の遺伝子は、器官の分化やある生長ステージから次の生長ステージへの進行など、各目的に向かって、ある偉い遺伝子の命令に従って協力して機能しています。そのような偉い遺伝子を、マスター調節遺伝子とよびます。
 そのような遺伝子が壊れた突然変異体では器官の分化や成長のパターンに異常が起きるはずであり、突然変異体を詳しく解析し、理解すれば、壊れた遺伝子のもともとの機能を知ることができるのです。

ここまで到達したい!

 これからも器官の分化や生長のパターンに異常が起きた突然変異体を見つけて、イネの生長の鍵をにぎるマスター調節遺伝子を捕まえては深く理解し、植物の発生の不思議を解き明かしていきたいです。そして、秋田から世界に向けて、植物の発生に重要な情報を発信していきたいと思います。

おまけの一言

 研究成果がすぐに「役に立つ」研究だけでなく、生命の不思議について理解するためにやるような研究にも、興味を持ってもらえるとうれしいです。
 ここで紹介した以外にも、いろんな突然変異体が大潟村のフィールド教育センターに育っています。興味のある方はご連絡ください。ご案内します。