研究内容の紹介


酸性降水に関する研究
 大気中に浮遊しているエアロゾル(浮遊粒子状物質)には、工場や自動車から排出されるもの(人為起源)や、海塩や火山の噴煙、黄砂などに由来するもの(自然起源)が数多くあります。これらの粒子は酸性降水の原因となったり、人の健康面や視程といったローカルな環境から地球気候のようなグローバルな環境まで幅広い範囲で我々の生活環境に影響しています。

 私たちは、風向・風速など気象条件によってエアロゾルの単位体積あたりの個数(数濃度)やサイズ毎の個数(粒径分布といいます)がどのように変動するか?、酸性降水の酸性度や降水に含まれる各種イオン濃度がどのように変動するか?といった観測・研究を行っています。




 エアロゾル粒子の電子顕微鏡写真。粒
子は海塩に由来するNa, Cl、そしてSiな
どからできていました。
 エアロゾル粒子のサイズ別数濃度の時間変化をパーティクルカウンターで観測した例。
 MAMEDAS(地上気象観測装置)のデータから、海から風が吹いてくる時間帯(図の青く影を付けた時間帯)にはエアロゾル粒子、特に大きな粒子が減少して、空気が綺麗になっていました。



 冬季の降水のpH値と気圧配置の関係。冬季に典型的に現れる4つの気圧配置、西高東低型、日本海低気圧型、南岸低気圧型と本州上高気圧型に分類しpHの変動と比べると、特に西高東低型の気圧配置で降水の酸性度が高くなる(pHの値が低くなる)ことがわかります。