学科の教員

生物環境科学科

ジャンル別講師の詳細プロフィール

CONTENTS

谷口 吉光(教授) たにぐち よしみつ

所属:生物資源科学部 生物環境科学科
学位:博士(農学)
専門分野

環境社会学、農業食料社会学

主な担当科目

学部担当科目
環境社会学
大学院担当科目
地域資源循環活用論、八郎湖流域管理論

最近の研究テーマと内容

【大量生産大量消費社会から持続可能な社会への転換】
私が最も力を入れて考えているのは、20世紀に世界を席巻した「大量生産・大量消費社会」(mass-production and mass-consumption society)の進行に歯止めをかけて、「持続可能な社会」(sustainable society)への転換の道筋をつけることです。 ところで持続可能な社会とはどんな社会でしょうか。これについてはさまざまな見解があると思いますが、私の立場は次のような議論の延長上にあります。すなわちメドウズらの「成長の限界」から始まり、槌田敦の「開放定常系としての地球」、室田武の「水土の経済学」、玉野井芳郎の「生命系の経済学」、エキンズらの「リビングエコノミー」、鶴見和子の「内発的発展論」、多辺田政弘の「コモンズの経済学」、最近では広井良典の「定常型社会」やラトゥーシュの「脱成長」などです。 こうした先人に学びながら、私は持続可能な社会の原則について考えてきたが、それはおよそ次のような原則で運営される社会だと考えています。
1.社会の仕組みや人間の行動の良否はまずそれが長期間(3世代くらい)続けられるかどうかで判断される。
2.地域の環境容量を超える物質やエネルギー消費をしない。環境容量の限度内で暮らす。
3.地域の物質循環・生命循環に基づいて暮らす。
4.人と物の移動は最小限に。しかし情報の移動は制限しない。
5.貨幣経済の比重が低く、互酬経済の比重が高い。
6.心やたましいのつながりを尊ぶ。
こうした原則を実現するのは都市部よりは農山漁村の方がはるかに容易です。だから私は持続可能な社会の中心は農山漁村になると信じています。 少しでも環境意識を持った人ならこうした原則に賛同してくれるでしょう。しかし、これを現実に適用しようとすればとてつもない困難にぶつかります。なぜならグローバルレベルや国家レベルの政策決定は相変わらず経済成長とグローバル経済化などの固定観念にどっぷり漬かっているからです。あれほど悲惨な被害をもたらした原発災害が起こったにも拘わらず、安倍政権がこれからも原発を推進しようとしていることや、地球温暖化対策にまったく関心を持っていないように見えることも、このギャップを示す例と言えます。 いずれこの未来社会のビジョンをめぐって大きな社会的・政治的論争が生じるでしょう。それが生産的な議論になるように、私たち研究者も未来のビジョン構築に積極的に参加しなければならないと思います。
研究紹介はこちら

技術相談に応じられる分野

(1)持続可能な地域づくり
キーワード:成長の限界、持続可能性、脱成長、ローカリゼーション、男鹿半島、農山漁村、ジオパーク、生業、自給的暮らしなど

(2)地産地消と有機農業
キーワード:地場生産地場消費、有機農業、自然農法、オーガニックフェスタ、食の安全・安心、生産者と消費者の交流、産直、田んぼの生きもの調査など

(3)住民主体の八郎湖再生
キーワード:環境学習、住民活動、植生再生、水田濁水の削減、潟の食文化の復活、八郎太郎伝説、アニミズム、環境NPOなど

(4)再生可能エネルギーを生かした地域づくり
キーワード:脱原発、風力、太陽光、太陽熱、地熱、小水力、バイオマス、薪、FIT(固定価格買い取り制度)、市民出資、エネルギーの地域自主管理など

指導できる自主研究

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