著書を出版したことについては、前回の記事で報告させていただきましたが、どのようなことを考えながら書いたのかを少しずつ記していきたいと思います。
まず今回は、内容とは直接関わりのない、この本を書くときに自分のなかで決めていたことを書いてみたいです。
- 禁欲せず、思いついたことはすべて書くこと。
- 普通の論文や報告書では、手堅くまとめるために、いかに「禁欲」するかが問われます。禁欲しないのは研究者として贅沢なことです。
- しかし、いろいろと盛り込んでいては話がまとまらないために禁欲するわけですから、それをしないということは、論理が破綻するおそれも高まってしまいます。
- 自分の能力では、多岐にわたる論点や理屈を整合的にまとめきれないのは承知の上で、考えたことをすべて書くようにしました。
- とはいっても、書いてみてから「さすがにこれは無理があるだろう」と思ってボツにしたものも、たくさんあります。ワードで50ページ分くらい。
- 完成度が低下したとしても、自分の限界に挑戦してみたかった。このようなことは、査読のある学会誌ではやりにくいので、著書として取り組めてよかったと感じます。
- 終章の農協の将来像について提言している部分は、自分の理想をありのままに書きました。これを読んで、しっくりくるという人は1人もいないだろうと思いながら書きました。
- 研究書としての体裁を一部崩しても、自分の思いや主観を書くこと。
- 序章にそのようなことを書きました。
- 研究のタコツボ化に対する自分なりの打開方向を示すこと。
- 農協研究・イノベーション研究・経営学(農業経営学でない)などについて勉強したことを総動員して研究の枠組みを作りました。
- 他分野の知見を紹介したレベルで「学際的」といっているのが気に入らない。それへのアンチテーゼとして。
このようなことを心がけながら書きました。
多くの先生より感想をいただいており、「よくわからなかった」というものも多いですが、それでも上記のようなことを意図して書いたことは少しは伝わっているかな?と感じております。