何か新しいもの、例えば技術でも新商品でもファッションでも何でもよいのですが、新しいものが広まってゆくという現象を研究する”普及学”という研究分野があります。普及学といえばロジャースというくらい有名なアメリカの先生がいて、その著作は何度も改訂されてロングセラーとなっています。新しいものをいち早く採用するか、遅れて採用するかという点に注目して、イノベータとか初期採用者とかに人々を分類したことが有名です。
大学院生の時に読んだロジャースの普及学をいま、13年ぶりくらいに読み返しています。
普及を研究するには必読の名著だとは思うのですが・・・、なぜアメリカの先生の書くテキストは、このようにページ数が多いのでしょう?
ページ数が増える理由でよくあるのは、事例や例え話がいっぱい出てくることです。事例分析とはいえないような中途半端な具体例がたくさんでてきます。例えば、フィンランドのノキアの携帯電話イノベーションの話が出てくるのですが、ロジャースが訪れたノキア本社の建物は鉄骨とガラスの近代的な建物だったとか・・・
そんなに立派な建物なのか気になって検索したら、経営不振によりノキア本社ビルを売却というニュースがでてきました(2012年のようです)。イノベーションの先進事例として注目の的だったのですが、諸行無常ですね。ビジネスは一寸先は闇だということでしょうか。